毎年4月3日におこなわれる「稚子塚まつり」
ここは、約200年前、萩内の海岸に娘が流れついたそうです。
娘は地主の翁了に助けられ手厚く介抱され元気を取り戻しました。娘は自分の身上は明らかにしませんでしたが、実は阿波の国(徳島県)の大名の娘で天から降りてきたような、それは美しいお姫さまであったそうです。
その後、茶屋を開いて粟餅などを売りながら村人に読み書きを教えましたが、生まれついての美しさと心の優しい姫のことは、たちどころに近郷近在に広まり、求婚などの申し出が絶えなかったとのことでした。
また姫の茶店の下には、海岸には珍しくコンコンとわき出る清水があり、昔から、“起請の水”と呼ばれていたが、姫はこの清水に姿を映し、化粧や身づくろいをしたため、いつからか“化粧の水”と呼ばれるようになりました。
姫の死後、ひわ山の頂上に乙姫神としてまつられ、毎年4月3日に祭礼がおこなわれています。
稚児塚への参道入口。赤い鳥居。
散り始めた桜。
ここに参れば美人が生まれ無病長寿の福徳が授かる、と言われています。
御浜町出身のプロ野球選手 薮選手のお父様が祭り担うお一人として法被を着ていらっしゃいました。
その薮さんから聞いた話では、
ここの祭りは出店も多く大変賑わった祭りで、ここから少し離れた場所には土俵があり、子供達はそこで相撲をとり、5連勝すると文房具がもらえたりしたそうです。
学校も、この祭りの日はお休みで、子供達にとっても楽しみな祭りだったと想像できます。
現在は、午前10時に宮司さんが来て神事を執り行い、午後3時ごろに餅まきをおこなうそうです。
参道に咲いていたオオシマザクラ。
参道に散った桜の花びら。
冒頭に書いた“起請の水”ですが、現在は見ることができません。
一時期、国道沿いにあるその場所で看板を出し、お店のようなことをしていましたが、現在は扉が閉まったままです。
残念なことに“起請の水”は原型を留めていないようで、観光パンフレットなどでも紹介されることはありませんし、現在ではその場所に入ることもできないようです。
良く似た状況は、獅子岩横の神仙洞。子供の頃から比べると余りにも変わり果てた姿になってしまいました。