ジャンさんとは大船駅で別れた。自分は翌日、取引先に持参するお土産として「鳩サブレー」を買おうと思ったのだが、改札外にそれを売る店がなく、ちょっと駅周辺を散策してみようと思った。しばらく歩いているうち、「立ちのみ」と書かれた看板を見つけた。
やっぱ立ち飲み屋があったか。
近づいてみると、狭いながらも店内は賑わっていた。混んでいたから、お店に入るのを躊躇したのだが、店奥のテレビがDeNAベイスターズとカープの試合中継が流れていてので、お邪魔させいただくことにした。
一人分のスペースを開けてもらい仲間に加えていただく。壁に掲げられたメニューを見てまずは驚いた。メニューが豊富で、しかも安いから。瓶ビール大瓶が450円て。「ホッピーセット」が330円。都心の立ち飲みに比べて120円から150円ほど安い。通常なら、「ホッピーセット」を頼むが、ここは京浜東北線の終着駅。既に日本酒をいただき、その上ホッピーを飲んだら確実に大宮まで行ってしまうだろう。いい旅チャレンジ2万キロじゃないんだから。
なので、左隣の御仁が飲んでいる「抹茶ハイ」(260円)をお願いした。店員さんはお年を召したお母さんのワンオペで、お客さんに毒を吐きながら客あしらいをしている。例えば、自分の右隣のお客さんはリタイアされたと思しきお父さんなのだが、話しの流れでちょっと記憶違いのことがあったら、お店のお母さんは「なんだい、もうボケちゃったの」という。すると、周りは「まぁまぁまぁ」となる。どうやら、この毒舌がこのお母さんの持ち味のようだった。このように、お店のお客さんは全てご常連さんだった。
さて、おつまみをどうしようかと思案する。
「揚げなすのおろしポン酢」260円。
「レバニラ炒め」290円。
安いしおいしそう。
しかし、一番気になったのが、「かつ煮(上豚ロース)」(290円)だった。立ち飲みに「かつ煮」があること自体、珍しい。しかもこの値段で?
すかさずお母さんにオーダーした。返事はない。
お母さん一人だから、「かつ煮」の出来上がりには時間がかかった。けれど、その間常連さんとの話に花が咲き、楽しい時間となった。
ご年配のお父さんから、自分と同じ世代のご夫婦。若い女性が和気あいあいと楽しく飲む。いいなぁ、この雰囲気。
「33年ぶりに大船に来たんですよ」。
そい言うと、ご夫婦客の奥さんが、「この店、初めて? そう見えないよ」という。
「いやー、お店の雰囲気がよくて」。
お店に溶け込むのは上手になったかなと思う。
「かつ煮」が出てきた。
とても290円とは思えない見事な「かつ煮」。お出汁もおいしいが、かつなとにかくうまい。「との山」で最高の料理をいただき、腹がいっぱいのはずだが、まだまだお腹に入るのだなと驚いた。それもそのはず、「かつ煮」がおいしかったから。
そうこうするうちに、テレビは緊迫した場面になった。9回裏2死、7-5でカープがリード。走者一人を置いてバッターは4番牧。カープの投手は抑え役に配置転換されたばかりの矢崎。
常連さんと話しは続いていたが、気持ちはそぞろだった。テレビが気になってしょうがない。
チラ見しながら戦況を見つめていたが、どうやらカープは事なきを得た。
試合が終わって21:50。すっかり遅くなった。「抹茶ハイ」×2杯。果たして、無事に帰れるだろうか。
大船は立ち飲みも楽しい。また絶対に再訪しよう。
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