懇親会が始まる前に、高崎の街を少し歩いてみた。
ホテルメトロポリタンを出て、北北西の方角へ。その方角に、「盛り場がある」と教えてくれたのは、この日の宿泊で相部屋となった日刊J動車新聞社のF崎さんだった。F崎さんは、4年間ほど群馬支社にいたというから、高崎の事情は詳しかった。
しばらく歩くと古い場末の酒場が集まる一角に出た。
「ははぁん。ここがF崎さんが言ってたとこか」。
ぐるりと一回りしてみたが、数分で一周できるほどの小さな一角に小さな料理屋が立ち並んでいた。
だが、F崎さんが話していた「盛り場」は、実はそこではなかった。
仕事関連の懇親会が終わって、我々記者仲間は、「一杯飲もう」ということになり、夜の街に繰り出した。わたしとRテックのMっちゃん、そしてSび広報社のM原君は、高崎の事情に詳しいF崎さんの後へ続いた。だが、例の「盛り場」を目指したところ、さっき歩いた猫の額ほどの飲み屋街はあっさりとスルーし、更にその先へ我々を導いてくれたのである。
高崎の街は暗い。
普段、東京の光の海で生活しているせいか、地方や地方都市に行くと、夜の暗さに驚くことがある。F崎さんが、教えてくれた盛り場は真っ暗だった。
盛り場といっても今はもう昔。
キャバクラの店の前で女の子が数人出て、客引きをしている店が2軒ある他は、ひっそりとしている。ここは、中央銀座通りというアーケード。その名前がはったりなのではないかと思うくらい、寂れている。
通りから外れた路地では開いているスナックもあったが、肝心のメインストリートは廃墟のようにシャッターが閉ざされていた。
まだ、時刻は21時を回ったところ。
地方の疲弊はここまできているのか。
ご当地、高崎は、昨年9月に首相に就任した福田康夫氏の出身地。街の至るところに、お祝いの貼紙が貼られている。そして、戦後、最も首相を輩出した県はこの群馬県である。
その高崎でも、地方格差に喘いでいるようなのだ。
この地方の疲弊は、その土地の至るところに深刻な影響を与えていることだろう。過日、福井県鯖江市に出張した際にも、そのような話しを聞いた。もっぱら伝統的な工芸はさっぱり。確実に市民の収入は減っている、と。日本の中でも裕福な県として知られている福井県でも地方格差に抗えないという。また、先日は埼玉県加須市に行った折に、タクシーの中から、開店したばかりという大規模ショッピングモールを見た。タクシーの運転手によると、そのお店の面積たるや日本一なのだそうだ。
地方は今、雇用を人質に、大規模工場や大規模店舗、或いは企業誘致を迫られている。それは、勝ち組と呼ばれる企業に補助金や法人税減免のお土産までつけて。
この地方の疲弊によって、店をたたまなければならないお店も少なくないだろう。それは、多分各地域の居酒屋とて同じことだと思う。
今、こうしている間にも1軒、また1軒と居酒屋がなくなっているのではないだろうか。
さて、はじめはスナックに行こうと、息巻いていた我々一行だったが、次第に意気消沈。散々、懇親会で飲み食いしたこともあって、軽く飲んで帰ろうといくことになった。
手ごろな居酒屋を探していたところ、暗がりの中央銀座商店街に煌々と灯りを点した居酒屋を発見。それが、この「居酒場 ゆう太」だったのである。
木の温もりが伝わる店構えはどこか山小屋を思わせる。そして、店頭に大きく掲げている浮世絵のパネルと紅白の縄暖簾は実に居酒屋らしい佇まいだ。
店に入って我々は一番手前のボックス席に腰掛けた。
中はがらんとしていた。数人のお客さんがいるだけだった。
お店入口から向かって右側が厨房。そこにカウンターが設けられている。左手がボックス席。奥にも客席があるらしいが、ここからでは、その様子が窺えない。
店内もまた、木製の造りに拘っていた。
腰掛けた我々は、まず飲み物を頼んだ。
生ビール(380円)3つに、わたしは酎ハイ(380円)だ。さっき、ビールをさんざん飲んだ。できれば、ワインなぞを飲みたかった。そう、この日はボジョレーヌーボーの解禁日。だが、どうやらボジョレーは置いていないようだった。
こういう居酒屋でも解禁日にはボジョレーヌーボーを出せばいいのにとつくづく思う。
しかし、それにつけても、この飲み物の値段といえば…。生ビールが380円とは、これはかなり安い。この辺りの相場がいくらか分からないが、400円を下回るとは素晴らしい。それに対して、酎ハイの値段に納得がいかない。何故、生ビールと同じなのか。
それに、この値段なら東京のそれよりも数十円ほど相場より高い。この料金体系はいささか疑問に感じる。
だが、酒肴の豊富さには目を瞠った。
「えだまめ」から「もろきゅう」といった簡単なものは280円より、このほか、焼き魚や定食の類、そして揚げ物や焼き鳥、そして魚介ものまで、幅広くメニューを取り揃える。それは、まるで居酒屋の王道を往くよう。更には、丼物などもあり、締めのご飯にも事欠かない。特筆すべきは、ラーメンだ。
実は、我々は既にお腹もいっぱいになっており、わたしは、壁に貼られているメニューの中で一際大きく書いてあるラーメンに魅力を感じた。
その魅力に耐えられず、わたしは酎ハイの肴に「味噌ラーメン」(600円)を触手を伸ばしてしまった。わたしは、速攻で締めに入ったのだ。
ラーメンは確かにおいしかった。
スープの出汁がなんかとか、そういうことよりもただ素直にうまい!と感じた。
さすが、同店の看板メニューだけはある。
実は、後日同店のホームページを拝見すると、このようなくだりを発見した。
「TVチャンピオン東京荻窪『味噌一』秘伝のタレを使用した“ちょい辛味噌ラーメン”。独自の製法によって生まれた味噌ダレの味わいをご堪能下さい」。
何か、同店と味噌ラーメンの間に深いいきさつがあるに違いない。それにしても、何故居酒屋でラーメンなのか、いまひとつ腑に落ちない。
我々は、もう1杯ずつ同じものを飲んで、店を出た。
店を出ると、上州の空っ風が吹きすさぶ。
ガランとしたアーケードが、またいかにも寒々しさを感じさせる。
このアーケードにもまた厳しい冬が来た。
与党は先ごろ「法人事業税の再配分」を税制改革に盛り込んだ。
だが、それは地方格差の抜本改革とはいかないだろう。ますます、都市部と地方との関係を浮き彫りとさせるに違いない。
東京荻窪の有名店の秘伝スープを使うのもいいだろう。
だが、できれば群馬県の味を確立できないものか。
地方格差はそうしたところにも見え隠れしている気がしてしょうがない。
ホテルメトロポリタンを出て、北北西の方角へ。その方角に、「盛り場がある」と教えてくれたのは、この日の宿泊で相部屋となった日刊J動車新聞社のF崎さんだった。F崎さんは、4年間ほど群馬支社にいたというから、高崎の事情は詳しかった。
しばらく歩くと古い場末の酒場が集まる一角に出た。
「ははぁん。ここがF崎さんが言ってたとこか」。
ぐるりと一回りしてみたが、数分で一周できるほどの小さな一角に小さな料理屋が立ち並んでいた。
だが、F崎さんが話していた「盛り場」は、実はそこではなかった。
仕事関連の懇親会が終わって、我々記者仲間は、「一杯飲もう」ということになり、夜の街に繰り出した。わたしとRテックのMっちゃん、そしてSび広報社のM原君は、高崎の事情に詳しいF崎さんの後へ続いた。だが、例の「盛り場」を目指したところ、さっき歩いた猫の額ほどの飲み屋街はあっさりとスルーし、更にその先へ我々を導いてくれたのである。
高崎の街は暗い。
普段、東京の光の海で生活しているせいか、地方や地方都市に行くと、夜の暗さに驚くことがある。F崎さんが、教えてくれた盛り場は真っ暗だった。
盛り場といっても今はもう昔。
キャバクラの店の前で女の子が数人出て、客引きをしている店が2軒ある他は、ひっそりとしている。ここは、中央銀座通りというアーケード。その名前がはったりなのではないかと思うくらい、寂れている。
通りから外れた路地では開いているスナックもあったが、肝心のメインストリートは廃墟のようにシャッターが閉ざされていた。
まだ、時刻は21時を回ったところ。
地方の疲弊はここまできているのか。
ご当地、高崎は、昨年9月に首相に就任した福田康夫氏の出身地。街の至るところに、お祝いの貼紙が貼られている。そして、戦後、最も首相を輩出した県はこの群馬県である。
その高崎でも、地方格差に喘いでいるようなのだ。
この地方の疲弊は、その土地の至るところに深刻な影響を与えていることだろう。過日、福井県鯖江市に出張した際にも、そのような話しを聞いた。もっぱら伝統的な工芸はさっぱり。確実に市民の収入は減っている、と。日本の中でも裕福な県として知られている福井県でも地方格差に抗えないという。また、先日は埼玉県加須市に行った折に、タクシーの中から、開店したばかりという大規模ショッピングモールを見た。タクシーの運転手によると、そのお店の面積たるや日本一なのだそうだ。
地方は今、雇用を人質に、大規模工場や大規模店舗、或いは企業誘致を迫られている。それは、勝ち組と呼ばれる企業に補助金や法人税減免のお土産までつけて。
この地方の疲弊によって、店をたたまなければならないお店も少なくないだろう。それは、多分各地域の居酒屋とて同じことだと思う。
今、こうしている間にも1軒、また1軒と居酒屋がなくなっているのではないだろうか。
さて、はじめはスナックに行こうと、息巻いていた我々一行だったが、次第に意気消沈。散々、懇親会で飲み食いしたこともあって、軽く飲んで帰ろうといくことになった。
手ごろな居酒屋を探していたところ、暗がりの中央銀座商店街に煌々と灯りを点した居酒屋を発見。それが、この「居酒場 ゆう太」だったのである。
木の温もりが伝わる店構えはどこか山小屋を思わせる。そして、店頭に大きく掲げている浮世絵のパネルと紅白の縄暖簾は実に居酒屋らしい佇まいだ。
店に入って我々は一番手前のボックス席に腰掛けた。
中はがらんとしていた。数人のお客さんがいるだけだった。
お店入口から向かって右側が厨房。そこにカウンターが設けられている。左手がボックス席。奥にも客席があるらしいが、ここからでは、その様子が窺えない。
店内もまた、木製の造りに拘っていた。
腰掛けた我々は、まず飲み物を頼んだ。
生ビール(380円)3つに、わたしは酎ハイ(380円)だ。さっき、ビールをさんざん飲んだ。できれば、ワインなぞを飲みたかった。そう、この日はボジョレーヌーボーの解禁日。だが、どうやらボジョレーは置いていないようだった。
こういう居酒屋でも解禁日にはボジョレーヌーボーを出せばいいのにとつくづく思う。
しかし、それにつけても、この飲み物の値段といえば…。生ビールが380円とは、これはかなり安い。この辺りの相場がいくらか分からないが、400円を下回るとは素晴らしい。それに対して、酎ハイの値段に納得がいかない。何故、生ビールと同じなのか。
それに、この値段なら東京のそれよりも数十円ほど相場より高い。この料金体系はいささか疑問に感じる。
だが、酒肴の豊富さには目を瞠った。
「えだまめ」から「もろきゅう」といった簡単なものは280円より、このほか、焼き魚や定食の類、そして揚げ物や焼き鳥、そして魚介ものまで、幅広くメニューを取り揃える。それは、まるで居酒屋の王道を往くよう。更には、丼物などもあり、締めのご飯にも事欠かない。特筆すべきは、ラーメンだ。
実は、我々は既にお腹もいっぱいになっており、わたしは、壁に貼られているメニューの中で一際大きく書いてあるラーメンに魅力を感じた。
その魅力に耐えられず、わたしは酎ハイの肴に「味噌ラーメン」(600円)を触手を伸ばしてしまった。わたしは、速攻で締めに入ったのだ。
ラーメンは確かにおいしかった。
スープの出汁がなんかとか、そういうことよりもただ素直にうまい!と感じた。
さすが、同店の看板メニューだけはある。
実は、後日同店のホームページを拝見すると、このようなくだりを発見した。
「TVチャンピオン東京荻窪『味噌一』秘伝のタレを使用した“ちょい辛味噌ラーメン”。独自の製法によって生まれた味噌ダレの味わいをご堪能下さい」。
何か、同店と味噌ラーメンの間に深いいきさつがあるに違いない。それにしても、何故居酒屋でラーメンなのか、いまひとつ腑に落ちない。
我々は、もう1杯ずつ同じものを飲んで、店を出た。
店を出ると、上州の空っ風が吹きすさぶ。
ガランとしたアーケードが、またいかにも寒々しさを感じさせる。
このアーケードにもまた厳しい冬が来た。
与党は先ごろ「法人事業税の再配分」を税制改革に盛り込んだ。
だが、それは地方格差の抜本改革とはいかないだろう。ますます、都市部と地方との関係を浮き彫りとさせるに違いない。
東京荻窪の有名店の秘伝スープを使うのもいいだろう。
だが、できれば群馬県の味を確立できないものか。
地方格差はそうしたところにも見え隠れしている気がしてしょうがない。
実際、RテックはH谷さんに怒られてるし。
単なる出張と捕らえていたら、今に痛い目に遭うぞ。
そうPトコーポレーションにお偉いさんに言っておきなよ。
体重情報は御社のI井さんから聞いたよ。
佐渡でパチンコしたりしてたら太ったって。ちなみにこの記事は今日、ヨッスィーも読んだと報告がありました。
体重ですが、兄さん残念ながら予想はハズレとりますよ♪
「M原記者!誘拐される!?」とか。
次回3月初旬の静岡もまた楽しみだね。
今度は、トコトン行くぞ!
体重が70kg台に戻ったっていうのは怪しいな。
オイラの予想は83kgと見た。
あっそういや先週、突然の発熱により体重は70kg台(後半)にもどりやした。