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居酒屋さすらい 0736 - 湯上がりの一杯 - 「道後 麦酒館」(松山市道後湯之町)

2014-04-07 22:36:00 | 居酒屋さすらい ◆地方版

道後温泉で一風呂浴びて外に出ると、麦酒という漢字が目に飛び込んできた。

ちょっと待ってくれ。何なんだよ、このマーケティング。たとえ、ビール好きでなくとも、風呂上がりなら誰だって一杯飲りたくなるじゃねぇか。

反射的に、いや吸い込まれるようにというか、体が勝手に、自分の意識とは裏腹に足が向いてしまう。

強風の中を歩くパントマイムのように。

「あん、ダメ、ちょっと、そこは」と卑猥な言葉を心の中で叫ぶが、悪だくみを持った越後屋は「まんざらでもねぇんだろ?」とニヤリとする。

そんな誘惑に、ガクリと力を奪われ、とうとうボクは手籠めにされた。

店に吸い込まれたのである。

 

店には、ボクみたいな輩がいっぱいいた。いや、浴衣を着たお姉さんもいた。温泉街にビール屋さん。これは当たりだ。 

「道後 麦酒館」。これで「どうごビールかん」と読むらしい。

店に入ると小上がりに通された。

いいよなぁ。風呂上がりにまったりするのは。

 

この店、「道後ビール」のアンテナショップらしく、メニューには樽生の「道後ビール」がラインナップする。

「ケルシュ」、「アルト」、「スタウト」、「バイツェン」。

「ピルスナー」はないらしい。

これらのビールに通称があるらしいから、面白い。

先述の順番から「坊ちゃん」「マドンナ」「漱石」「ノボさん」。

ビールと名称の関係は不明。「スタウト」が「漱石」っていうのが、納得がいかないが、ボクはその「漱石」を頼んだ。ジョッキは840円。

肴には「宇和島のじゃこ天」(370円)をチョイス。

 

道後の温泉街にある麦酒館と聞けば、純和風的なお店を想像するだろう。

だが、その想像は見事に裏切られる。

完全な洋風でもないが、和洋折衷にしては、妙にアンバランスだ。

小上がりのあるバー風といったあんばいだろうか。

 

「じゃこ天」はおいしかった。

宇和島は「じゃこ天」の名産地らしい。色はきつね色をもう少し濃くした感じで、熊本のそれとは全く違う。

カリカリと歯ごたえが心地よく、コクのある「スタウト」にもよく合った。

 

2杯目は「ノボさん」をグラス(470円)で頼んだ。

何故に正岡子規なのだろうか。全く分からない。

白みがかったやや濁りのあるバイスビールを口に含むと、あの独特の爽やかな香りが漂う。素晴らしい。

あてに「酢の物」(370円)をいただく。

だが、このあてのチョイスが失敗した。どちらも、爽やか系なのである。

「しまった」と思ったときは後の祭り。あ~、こってりとしたものを選べばよかった。

 

それにつけても、風呂上がりにまんまとしてやられた熊猫。

恐らく、ほとんどの人が、ふらふらと吸い寄せられるんだろうな。

道後温泉を出たほとんどの人がね。

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