朝霞の駅はJRと東武線が隣接する。それぞれ、別の駅舎になっており、乗り換えは、わざわざ駅を出なければならない不便なターミナルになっている。
駅前はロータリーになっているし、JR駅の裏手にも、店が少なからずある。仕事の関係で、朝霞に行くことが多くなり、何回か探検してみた。けれど、立ち飲みは見つからなかった。
ある日、東武線の北朝霞駅の構内に入ってみた。シュークリーム屋さんがあり、本屋さんがあり、結構賑わっている。
へぇ、と思いながら駅を抜けると、そこには小さなロータリーがあり、右手には、「立ち飲み 日高」がある。さすが、埼玉。まだ見ぬ、「日高」があったか。店舗に近づいてみると、更なる驚きがあった。「日高」のとい面に、こきたない立ち飲みがあるのだ。
その名も「雷兵衛」と書いて「ゴロベー」。時刻は15時半で、しかも開いてる。しかし、この日、ボクは、会社に帰らなければいけなかった。ボクは、ビールを飲まずに涙を飲んで会社に戻った。
そして、後日、Y澤さんと「雷兵衛」を訪れたのだった。時刻は14時45分。開店の15時までには、時間があったが、開いてるドアから店内を覗き、「もういいですか?」と声をかけると、中から、「15時からだけど、もういいわよ」とおばさんが言った。
ともすると、定刻にならないと入れてくれない店があるが、さすがおばさんは融通がきく。
店は厨房をぐるりと取り囲むカウンターだけの店。外観も汚いが、店内は更にこきたなかった。
何が汚かったかといったら、壁に貼られたメニュー。手書きの字が汚い。しかも、メニューが更新される度に、メニューを追加していったようだが、適当な紙に書いて、それを無造作にベタベタと貼り付けている。そのせいで、メニューはやたらと多いが、ベニヤっぽい壁が不揃いの紙で溢れていた。
メニューは全て300円。
おばさん一人で、このメニューを網羅することができるのだろうか。
さて、何を飲もうか。
ビールとホッピーセットは450円。
暑いことだし、ますば瓶ビールで乾杯だ。
一番搾りは、「埼玉づくり」の瓶ビール。
つまみに、「豚もつ煮込み」を頼むと、Y澤さんは例によって、「ふたぁ~つ」と返した。
豊富なメニュー。
「まぐろ納豆」。
「シューマイ」。
「めざし」。
「うるめいわし」。
「きんぴらごぼう」。
「肉豆腐」。
「がんも含ませ煮」。
中には、「モッツァレラチーズトマト」というものまである。
素晴らしい、田舎メニュー。まるで、田舎のごちそうのようだ。
「豚もつ煮込み」は、濃い味付け。砂糖が入っているのか、みりんが効いているのか、やや甘辛い。さすが、おばあちゃんチ。
15時を過ぎて、少しずつ、他のお客さんが入ってきた。それでも、おばちゃん、ワンオペで対応。
後から入ってきたお客さんとの会話を聞いていると、どうやら日替わりでおばちゃんらが店を守っている様子。
それもまた変わり種。
ボクとY澤さんは、「きんぴらごぼう」と「ねぎチャーシュー」をつつきながら、「チューハイ」(300円)を2杯ずついただいた。
うまい。
「きんぴらごぼう」は、まさしくお袋の味だ。
朝霞に来る楽しみが、またひとつ増えた。
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