確か20歳くらいだったか。花巻温泉に来たのは。
花巻温泉郷というくらい、広域に点在する天然温泉。25年前、どこのホテルに泊まったか。もう、すっかり忘れてしまった。確か、宮沢賢治記念館を訪問し、「アメニモマケズ」の直筆手帳を見たのだった。
今回、菩提寺の北条さんとともに巡るツアー2日目は、花巻温泉の志戸平で宿泊となった。
ホテル志戸平。
大きなホテルで、ひなびたという感じがなく、情緒は薄い。でも、温泉は素晴らしかった。
2本の源泉からひく、泉質と湯量には驚いた。「喜久の湯」。ナトリウム-硫酸塩、塩化物泉(弱アルカリ性低張性高温泉)と「まつの湯」の単純温泉。
その湯に相応しい、広大な浴槽の数々。
なんと、きくところによると、風呂の総面積は、岩手県一だとか。
だって、断然広い。
内風呂の「天河の湯」は、25mもの長さを誇り、露天風呂も広大だ。風呂は、川沿いに面していて、その風景だけでも、情緒溢れるものだが、対岸の山の木々は、この季節、紅葉で見ごたえ充分。また、対岸には、昭和初期まで湯船があったらしく、その跡が今も生々しく残る。恐らく、かつてそこは、かなり賑わったのだろうと想像するのだ。
ともかくも、壮大なスケールのお風呂なのである。
「お風呂さすらい」史上、最も大きなホテルの浴場だった。
10月ともなれば、岩手の山あいは、もうだいぶ冷える。
夕刻、朝方に、露天の温泉に浸かると、湯けむりが、またいい雰囲気を醸し出してくれる。
とくに、朝早く浸かる風呂は最高だ。
山あいの凛とした空気と湯けむりで、自分が今、この世ではなく、ともするとあの世にいるのではないかと思ってしまうほど。
「うん、いいあんべぇだ」。
ちなみに、この温泉。
坂上田村麻呂が観音像のお告げによって発見されたという。今でも、近くの神社は、釈尊にちなみ、4月8日と12月8日を祭日にしているという。やはり、これも釈尊のお導きだったのか。
ともかくも、いいお風呂だった。
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