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居酒屋さすらい 1118 - 「吉呑み」革命。そして男たちは解放された - 「吉野家 JR神田駅店」(千代田区鍛冶町)

2017-01-18 04:48:43 | 居酒屋さすらい ◆東京都内

昔、中山競馬場近くの「吉野家」で、ふてぶてしく入ってきたおっさんが、席に着くなり、「全部」と注文した。そこに居合わせたほとんどの輩が、その声の主に振り返った。

「全部って何だよ」。

 

当時、「吉野家」のメニューは極めて少なかった。

牛丼は並か大盛、ご飯がない牛皿、そして漬物にサラダ、味噌汁に玉くらい。それにビールである。要するに、吉野家でフルコースを頼んでもたかが知れていた。

無理もない話だ。おっさんの顔は、高揚感に溢れていた。恐らくかなりの配当がついたのだろう。

吉野家で豪遊するのには、二つの意味がある。一つは、征服感。そして、もう一つが、牛皿をつまみにビールという非日常感である。いずれも何か発生した際の、スペシャルなイベントである。

とにかく、食べてしまった後、速攻で金を支払い、席を立たなければならない吉野家で、長居すること、或いは長居する姿勢を見せるには、ちょっとした勇気が必要だった。それを、このおっさんは、「全部」と引き換えに、やってのけた。

 

だから、吉野家でビールを飲むこと、更には、長居することは、ある程度の年齢がいった男にとって、悲願だったといえる。

したがって、吉野家で「吉呑み」が始まったことは、我々にとっては、革命であったといえる。

それは、世の男にとって、一種の解放であった。

 

しかも、「吉飲み」はビールだけではなかった。信じられないことに、吉野家にホッピーも用意されていた。

だから、かつて通ったJR神田駅のガード下、吉野家の2階に上がり、ホッピーセット(400円)をオーダーした際は、どこか落ちつかなかった。やがて、ホッピーのリターナブル瓶が運ばれてきたときは、その非日常感で思わず「マジか」と呟いたものである。

 だが、問題はその後である。

つまみのチョイスに逡巡した。男の夢としては、ここで「牛皿」(330円)だろう。これまで、幾度ともなく夢見ては焦がれてきた野望である。

しかし、一方では、「吉呑み」によるオリジナルメニューがあった。

「牛煮込み」(350円)

「ハムポテト」(280円)

これは酒場ファンにとっては、たまらないメニューだった。

 

どちらを頼むか。

しかし、意に反して、「牛皿」をオーダーした時、「まだボクは解放されてないな」と思ったものである。

 

しかし、人は味覚に対して、それほど自由ではないことも分かった。人は吉野家の牛丼の、あのタレにやられているのである。

だから、「牛皿」とともに、ホッピーを流しこんだとき、ボクの中の夢が一つ完結した。

長い長い、さすらいの日々だった。

1118回目に訪れた、積年の歓喜。

もしかすると、ボクは、吉野家の牛皿とホッピーを飲むために、長い途上の旅を続けてきたようにさえ、今は思える。

 

やっぱり、最高だよ。

吉野家。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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自分も (怪鳥)
2017-01-18 10:30:47
田原町店で「夢」の吉野家呑みは実践しました。しかし、一回きりで「もういいかな」と思ってしまったのが意外・・・・。行った店舗が悪かったかな。もしかしたら「本数制限」がないからかな・・・・。
返信する
Unknown (熊猫)
2017-01-18 17:21:27
人は自由になった瞬間、夢から醒める。

な~んちゃってね。

店舗にもよるのかもよ。
一度、ホッピー研究会でも、行きましょう。
返信する

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