一度行った居酒屋の評価が、次に訪問した際ガラリと変わることは稀にある。
行ったときの人間構成や天気、体調、時間、或いはその日食べたランチなどで、その晩行った居酒屋のイメージは変わってくるだろう。
「末広町 八」も初めて飲みに行った印象はたいしたものではなかったが、先日改めて来店したときには、天と地ほどの差を感じた。
やはり、居酒屋はただの一度行っただけでは何も分からないのである。
5月18日、この日は会社が無事に決算を迎えたことで、その慰労会が、ここ「末広町 八」にて開かれたのだ。
先述したとおり、同店の訪問はこれで2回目。
前回はS栄印刷のMさんの接待でここを訪れた(居酒屋放浪記NO.0074を参照)。
このとき、わたしはこの店を評して「すこしお洒落ダイニングが入った創作料理風居酒屋といった趣」と評している。
この発言を撤回しよう。
そんな、流行ものをとってつけてきたような軟弱なお店ではない、と思う。
今回、改めてお店に入り、その思いを新たにした。
今回、我々社員一同は飲み放題コースをチョイスした。
我々が席につくと、既にテーブルには小さなグラスに注がれた飲み物が用意されていた。
店員に聞くところによると、食前酒の梅酒らしい。
しかも、その梅酒は人気の本格焼酎、「晴耕雨読」や「角玉」を製造する佐多宗二商店が作った角玉梅酒。この梅酒も焼酎に負けず劣らず、人気ぶりを見せているようだが、それを惜しげもなく食前酒にするという気合のいれようが、同店の心意気を物語る。
早速、角玉梅酒を頂くと、さらりとした角玉梅酒の爽快な味が口いっぱいに広がった。
そうすると、次にテーブルには瓶ビールが置かれた。
銘柄はアサヒの「熟撰」。
実に渋いビールを置いているのである。
今や、「ヱビスビールあります」と掲げたお店はあちらこちらに散在し、ちっともヱビスビールはプレミアムなビールではなくなりつつある。ちょっと前なら「ヱビスビールあります」は大きなアドバンテージだった。今、それにとって変わろうとしているのが、「熟撰」ではなかろうか。なにしろ、「熟撰」は市販されていないのだから。
前回は、生ビールを飲んだために、銘柄は不明だった。まさか、生ビールは「熟撰」ではないだろうが(インターネットで調べると生ビールも「熟撰」だ!)、とにかく、この瓶ビールの銘柄には意表をつかれたのである。
間髪いれずに料理が各テーブルに運ばれていく。
最も驚嘆したのが、店員がその都度、料理の名前と説明をしていることである。
例えば、「こちらは、お刺身3点盛りで、○△漁港で水揚げされたものです」と言った具合に。水揚げされたところまで言ったかどうかは、実に記憶があやふやなのだが、とにかく、懇切丁寧に食し方まで教えてくれるのだ。
これには、大変驚いた。
確か、前回訪問したときも、この店員さんはお料理の名称とちょっとした解説をつけてくれた覚えがあるが、そのときはあまり感動を覚えなかった。
しかし、実際にこうやって対応されると、実に気持ちがいいものである。
食の安全について最近特にかまびすしいこの頃だ。
雪印、日本ハム、不二家、そしてミートホープ。
本来、安全であると思っていたものが、じつはまやかしであったなんて、こんな怖いことはない。基本的に性善説であった日本社会は、今後そうはいかなくなるだろう。
仕入れ先が不祥事を起こしていても、「知りませんでした」というのは、今後通用しなくなるとわたしは考える。居酒屋だって同じだ。お客様に何を食べさせているか、そこには重い責任があるといっていい。
金額が高い安いに関係なく、食のトレーサビリティと説明責任はどの店も負わなければならなくなってくるはずだ。
そんな、説明を惜しみなく行う同店には深く感銘したのである。
その後、茶碗蒸し、煮物とお料理が運ばれる中で、更にわたしの舌を喜ばせてくれたものが、「スペイン産 イベリコ豚の備長炙り」だ。
ちなみにイベリコ豚とは、「イベリア種の豚と生理学的にも形態学的にも独特の特性を持つ野生に近い黒色の豚で、どんぐりの実を主食とする。放牧による運動量が、より高密度の筋肉繊維をつくり、密度の濃い脂分を保有して、密度の高い香気を放つ」(『轟』6月号=千整振)。
うぅむ。分かったような、分からないような。だが、どんぐりしか食べないようなので、独特の香りがするような気がする。
同店自慢の備長炭で炙られたイベリコ豚を焼き野菜と共に食べるこの料理は肉の柔らかさと、炭火のほのかな香りとで実に豊かな気持ちにさせてくれた。
この料理には焼酎だな。
そう思って、芋焼酎を頼んだ。
飲み放題メニューには銘柄は指定できない。
果たして、出てきた芋焼酎のロックとイベリコ豚は絶妙な取り合わせだった。
芋焼酎の銘柄は「ドリームさつま」。
店員さんが言うには、市販されていないものとのこと。
素晴らしい!
同店には焼酎の銘柄各種揃う。常時50種塁以上あるというが、中には「百年の孤独」(黒木本店)なども。
うぅむ。社長の目を盗んで注文してみたいものだ。
結局、ドリームさつまをくいくいと4~5杯飲んだせいで、すっかりまたもや記憶があやふやになりつつある。だが、店を出てみると、同店の姿勢を記す「こだわり」という小さな文書が壁に張られてあって、それを読んで改めて納得した。
そこには、食材に対する考え方、またそれに合ったお酒の選び方など、サービスに対する同店の姿勢が滔々と表明されていた。
おいしい料理とお酒に充分堪能できた。
どうやら、この店は本物だな。
行ったときの人間構成や天気、体調、時間、或いはその日食べたランチなどで、その晩行った居酒屋のイメージは変わってくるだろう。
「末広町 八」も初めて飲みに行った印象はたいしたものではなかったが、先日改めて来店したときには、天と地ほどの差を感じた。
やはり、居酒屋はただの一度行っただけでは何も分からないのである。
5月18日、この日は会社が無事に決算を迎えたことで、その慰労会が、ここ「末広町 八」にて開かれたのだ。
先述したとおり、同店の訪問はこれで2回目。
前回はS栄印刷のMさんの接待でここを訪れた(居酒屋放浪記NO.0074を参照)。
このとき、わたしはこの店を評して「すこしお洒落ダイニングが入った創作料理風居酒屋といった趣」と評している。
この発言を撤回しよう。
そんな、流行ものをとってつけてきたような軟弱なお店ではない、と思う。
今回、改めてお店に入り、その思いを新たにした。
今回、我々社員一同は飲み放題コースをチョイスした。
我々が席につくと、既にテーブルには小さなグラスに注がれた飲み物が用意されていた。
店員に聞くところによると、食前酒の梅酒らしい。
しかも、その梅酒は人気の本格焼酎、「晴耕雨読」や「角玉」を製造する佐多宗二商店が作った角玉梅酒。この梅酒も焼酎に負けず劣らず、人気ぶりを見せているようだが、それを惜しげもなく食前酒にするという気合のいれようが、同店の心意気を物語る。
早速、角玉梅酒を頂くと、さらりとした角玉梅酒の爽快な味が口いっぱいに広がった。
そうすると、次にテーブルには瓶ビールが置かれた。
銘柄はアサヒの「熟撰」。
実に渋いビールを置いているのである。
今や、「ヱビスビールあります」と掲げたお店はあちらこちらに散在し、ちっともヱビスビールはプレミアムなビールではなくなりつつある。ちょっと前なら「ヱビスビールあります」は大きなアドバンテージだった。今、それにとって変わろうとしているのが、「熟撰」ではなかろうか。なにしろ、「熟撰」は市販されていないのだから。
前回は、生ビールを飲んだために、銘柄は不明だった。まさか、生ビールは「熟撰」ではないだろうが(インターネットで調べると生ビールも「熟撰」だ!)、とにかく、この瓶ビールの銘柄には意表をつかれたのである。
間髪いれずに料理が各テーブルに運ばれていく。
最も驚嘆したのが、店員がその都度、料理の名前と説明をしていることである。
例えば、「こちらは、お刺身3点盛りで、○△漁港で水揚げされたものです」と言った具合に。水揚げされたところまで言ったかどうかは、実に記憶があやふやなのだが、とにかく、懇切丁寧に食し方まで教えてくれるのだ。
これには、大変驚いた。
確か、前回訪問したときも、この店員さんはお料理の名称とちょっとした解説をつけてくれた覚えがあるが、そのときはあまり感動を覚えなかった。
しかし、実際にこうやって対応されると、実に気持ちがいいものである。
食の安全について最近特にかまびすしいこの頃だ。
雪印、日本ハム、不二家、そしてミートホープ。
本来、安全であると思っていたものが、じつはまやかしであったなんて、こんな怖いことはない。基本的に性善説であった日本社会は、今後そうはいかなくなるだろう。
仕入れ先が不祥事を起こしていても、「知りませんでした」というのは、今後通用しなくなるとわたしは考える。居酒屋だって同じだ。お客様に何を食べさせているか、そこには重い責任があるといっていい。
金額が高い安いに関係なく、食のトレーサビリティと説明責任はどの店も負わなければならなくなってくるはずだ。
そんな、説明を惜しみなく行う同店には深く感銘したのである。
その後、茶碗蒸し、煮物とお料理が運ばれる中で、更にわたしの舌を喜ばせてくれたものが、「スペイン産 イベリコ豚の備長炙り」だ。
ちなみにイベリコ豚とは、「イベリア種の豚と生理学的にも形態学的にも独特の特性を持つ野生に近い黒色の豚で、どんぐりの実を主食とする。放牧による運動量が、より高密度の筋肉繊維をつくり、密度の濃い脂分を保有して、密度の高い香気を放つ」(『轟』6月号=千整振)。
うぅむ。分かったような、分からないような。だが、どんぐりしか食べないようなので、独特の香りがするような気がする。
同店自慢の備長炭で炙られたイベリコ豚を焼き野菜と共に食べるこの料理は肉の柔らかさと、炭火のほのかな香りとで実に豊かな気持ちにさせてくれた。
この料理には焼酎だな。
そう思って、芋焼酎を頼んだ。
飲み放題メニューには銘柄は指定できない。
果たして、出てきた芋焼酎のロックとイベリコ豚は絶妙な取り合わせだった。
芋焼酎の銘柄は「ドリームさつま」。
店員さんが言うには、市販されていないものとのこと。
素晴らしい!
同店には焼酎の銘柄各種揃う。常時50種塁以上あるというが、中には「百年の孤独」(黒木本店)なども。
うぅむ。社長の目を盗んで注文してみたいものだ。
結局、ドリームさつまをくいくいと4~5杯飲んだせいで、すっかりまたもや記憶があやふやになりつつある。だが、店を出てみると、同店の姿勢を記す「こだわり」という小さな文書が壁に張られてあって、それを読んで改めて納得した。
そこには、食材に対する考え方、またそれに合ったお酒の選び方など、サービスに対する同店の姿勢が滔々と表明されていた。
おいしい料理とお酒に充分堪能できた。
どうやら、この店は本物だな。
また自分が成長したから違う感動を味わえる、というのもありますよね。
最初に行った時に何も感じなかったものが
「そうか・・・そういうことを言いたかったのか。」と
感動したことは何度もあります。
料理やお店の方とのお話に耳を傾けることで
また全然印象も変わってきますもんね。
だから、居酒屋は1度きりで判断したくありませんね。1件か2件のお店で定点観測するのがいいか、いつも違うお店で飲むのがいいか。
酒飲みとしてはどちらも憧れですね。