KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

2019台湾の旅 #2-玉山登頂(主峰・東峰)

2019年10月06日 | 海外
0日目(10/4)天候:
 仕事を午前中に切り上げ、午後から有休。
 これから台湾一人旅、三泊六日?の予定である。
 昨年は何かと忙しく、海外は二年振り。
 台湾は9年振り二度目だが、近場で日本と似ているとはいえ、やはり少しでも日常の世界から離れるとなるとイイ歳こいてワクワクしてしまう。
 
 夕方、成田空港着。
 横浜からだともちろん羽田の方が近くて便利だが、自分はこの成田までの距離が心の準備ができるというか、高揚感が湧いてきて好きである。
 今回利用するのはシンガポールのLCC「スクート航空」。
 今や時期によっては往復1万円も切る?ほどの台湾だが、今回は2万円+諸費用といったところ。北海道や沖縄へ行くより全然安い。

 
久々の成田空港。いつものように萌え系雷神さまが見送くられて出発。
 
 とりあえず台湾での必需品として、噂の台湾simカードを購入。
 1,000円ほどのプリペイド式で、スマホで付け替えれば通信は五日間向こうで使い放題。重くて嵩張るレンタルwifiはもう古い。
 とは言うものの自分が持っているのは二年前のガラホ(スマケー)で、実は設定が意外と大変だった。
 買ったはいいがなかなかうまくいかず、途中で諦めかけたほど。
 だが、あれこれやっているうちに何とかなるもので、向こうで突然繋がった時はちょっと感動してしまった。
 
 機は予定通り成田を20時30分に経ち、2時間ちょっとで台湾の桃園国際空港着。
 時差は台北の方がきっちり1時間遅れなので、現在23時過ぎ。面倒なので時計は日本時間のまま修正せずに過ごすことにした。
 
 着いたのが夜中なので、このまま空港でやり過ごす。
 何とか柔らかめのソファーの充電可能スペースを確保したが、冷房が効き過ぎてけっこう寒い。
 pataoniaのパフジャケットを着込み、冬山ビバーク体制で朝まで過ごす。
 

一日目(10/5)天候:
 行程:台北8:21-高鐵「嘉義」9:48~10:10-阿里山BT12:40~13:30-東埔山荘14:20
 
 本日は移動日。
 さっそく便利な「イージーカード」を自販機で購入。これは台湾版suicaで、地下鉄やバスの運賃、コンビニでの飲食物など大抵のものに使える。
 駅の自販機はもちろんコンビニでもチャージ可能で、帰国の際には払い戻しも可だ。
 (以下、費用は当時のレートで日本円に換算。1台湾ドル≒3.5円とする。)
 
 まずはMRT(地下鉄)で台北市街へ移動。(約40分)
 車窓からは日本と似た風景が広がるが、やはり南国のせいか全体的に緑が濃い。

 
台湾に着いたら、まずsimカードとeasyカード。(左)
巨大な「台北」駅(右)
 
 台北駅のコンビニで肉マンとアスパラガスジュースという妙な朝食を買い、そのまま新幹線(高鐵)で「嘉義」へ。(約1h30m、3,660円)
 さらに駅前バスターミナルから路線バスに乗り「阿里山」まで。(約2h30m、960円)
 阿里山は聞くところによると「台湾の上高地」などと呼ばれ、そういうイメージを持っていたのだが、バスの終点となるターミナルは特に何もなく殺風景なところ。
 
 さらに午後になって猛烈なスコールとなり、辺りは灰色一色となる。
 今回、事前の天気予報では登山日の二日間とも雨マークで、もしかしたら玉山は登れないかもと半分諦めモードでここまで来たが、さらにその感を強くする。
 実際の観光地としての阿里山はここからさらに少し先になるようだ。

 
「嘉義」から「阿里山」へ向かう路線バス(左)
阿里山バスターミナル。観光地とししての阿里山はさらに奥?で、ここにはセブンイレブンしかない。(右)
 
 ターミナルにあるセブンイレブンで明日からの行動食を調達。
 山小屋での朝夕の食事は頼んであるが、玉山ではこの先、売店などは一切無く、この阿里山バスターミナルのセブンが最終補給地点となる。
 
 予約していたチャーター車が到着。
 ここから登山口の上東埔駐車場までは車で40~50分ほどかかる。なぜかこの辺りはタクシーが一台も走っていないので阿里山から上東埔までは事前に代理店に頼むなどして車を確保しておいた方が良い。(「計画編」参照)
 
 上東埔駐車場着。
 売店などは無く、あるのはトイレのみ。雰囲気としては富士山の富士宮口五合目と似た感じか。
 この日はその下にある「東埔山荘」に泊。(素泊まり1,100円+食事2食1,000円)
 食事は事前予約しておいたが、基本的に素泊まりを想定しているようで、他の台湾人登山者はカップラーメンなどを持参していた。
 お湯は使い放題なので、自分もそうすれば良かった。

 
上東埔駐車場(左)と東埔山荘(右)
 
 早めに到着したので、登山道の下見を兼ねてこの日のうちに登山届を提出する。
 歩いて20分ほどで、登山管理所と警察があり、そこでパスポート提示と共に日本でプリントアウトしてきた国立公園入園許可証、玉山入山許可証を提出。
 これでようやく入山できるわけだ。
 登山管理所は玉山国立公園の自然を紹介すると共に、スマホの充電やお湯も無料でもらえるので便利だ。

 
登山管理所(左)と、その隣にある警察(右)。それぞれに届を出して準備完了。
 
 東埔山荘に下って早めの夕食。
 同じテーブルに座った台湾男性二人組がとても親切で、オレンジをくれたりして、しばし談笑する。
 明日、登山管理所から塔塔加登山口までのシャトルバス(所要10分)の始発は6:30。
 最初はそれに乗るつもりだったが、彼らはそれを待たずもっと早い時間に歩いていくと聞いて、自分もそうすることにした。
 
 今日の天気を見ると台湾、特に山岳地帯は大陸性の天気で、午前中は晴れるが、午後になるとスコールが起きそうな気がする。
 できれば明日早出して一気に主峰、そしてできれば東峰まで登ってしまおう。
 ただ一つ気になることがあって、今回の旅の直前にどこかで左足首を捻ってしまったようで、時々痛む。大きな腫れなどはないが、こんな状態で足が最後までもつだろうか。念のため明朝はテーピングできつめに固定しておこう。

 
東埔山荘の夕食風景(左)とベッドルーム(右)
 
 
二日目(10/6)天候:
 行程:東埔山荘3:30-排雲山荘7:40~8:00-玉山主峰9:40~10:00-東峰11:30~50-主峰13:10~30-排雲山荘14:45
 
 結局、朝3時には目が覚めてしまった。
 東埔山荘のベッドはいっぱいで、隣のイビキがひどかったらヤダなと思っていたが、台湾の人たちはみな静かで、おかげでぐっすり眠れた。
 
 朝食も摂らずに、そのまま3:30には出発。
 辺りは真っ暗だが、昨日少し下見をしているし、ヘッデンと星明りで特に迷うことはない。
 
 登山管理所から塔塔加登山口までは車で10分らしいが、歩くとけっこう長く感じる。
 下山時はやはりシャトルバスを使おう。(約350円)
 大抵の登山者はシャトルバスを使って明るくなってから登り始めるが、もちろん暗い内からヘッデンを点けて登っている人たちもいる。

 
石碑があるだけの塔塔加登山口(左)と、「孟禄(モンロー)亭」と呼ばれる最初の休憩スペース(右)
 
 塔塔加登山口は大きな石碑があるだけで、何もない所。
 道は一本で、指導標もあるので真っ直ぐ登り続ける。
 登山道はよく整備され、雰囲気としては箱根のハイキング道である。
 道標はきっちり0.5kmごとに設置され、ペース配分の目安になる。
 
 東屋だけの「孟禄(モンロー)亭」、立派なテラスのある「白木林」の休憩舎を越えていく。
 特に後者は眼前に頂上稜線が望め、快適なビバークポイントだ。

 
登山道の指導標は0.5kmごとに設置され、今どの辺の位置にいるかわかりやすい。

 
展望の利くテラスのある「白木林」は、快適な休憩所(左)。途中にある「大肖壁」という大きなスラブ壁(右)
 
 玉山の七~八合目に相当する「排雲山荘」(3,402m)に到着。
 通常のペースでおそらく5~6時間のところを4時間10分。時間的には少し余裕ができ、これなら今日中に主峰を越えて東峰まで足を延ばせそうだ。
 排雲山荘のスタッフはなぜか台湾人ではなく、フィリピンとかタイとかもっと色黒の東南アジア系だった。
 
 

 不要なウェアなどを小屋にデポして、さらに登り続ける。
 少し飛ばし過ぎたのか頭痛というほどではないが、頭が重いので、ここから先は一段ペースを落とす。
 もうこの先は富士山の頂上付近と同じ、そしてさらにその高さを越えていくのだ。
 それでも主峰への登山道は台湾の人々と同じく、どこまでも優しく、斜面は急になってもできる限りジグザグに切って傾斜を感じさせないようにしている。
 空気は薄いが、富士山の登山道よりはよっぽど登りやすい。

 

 
 
 しかし、ここまで晴れていたものの、頂上に近づくにつれ天気は悪化してきた。
 頂上直下のロックシェイド(落石避け)の手前で雨具を着用。この時間になると下山する人が疎らにいるだけで、自分もよほど出直そうかと思った。
 それでもあと少しと思い直し、登り続け、ようやく主峰(3,952m)に到着。
 
 雨はそれほど激しくないが、立っていると倒されそうな強風だ。
 岩陰で風を避けているとそれでも後から登ってくる者がいて、お互いに写真を撮り合う。
 やたら元気なニイちゃんがいて、こちらが一人で写ろうと思っているのに勝手にシャシャリ出て肩を組んでくるのには苦笑したが。

 
台湾最高峰、玉山主峰 3,952m
 
 とにかく風が強く、このまま長居すると身体が冷え切ってしまうのでそそくさと下山しようとしたが、ふと見ると東峰の方からも2、3組やってきた。
 中には若い女子もいて、(彼女でも頑張れたなら、自分でも行けるかも。)と冷えた心に火が点いた。
 それに長年の山の経験からこうした山の悪天は風が強ければ、その分すぐにまた雲が切れたりすることも多い。
 
 その読みは見事に当たり、しばらくするとあっという間に雲が切れ、再び青空が広がり始めた。
 ナイス!これなら行ける。
 迷うことなく東峰へ向かった。

 

 
主峰から東峰への道。鎖や道標となるテープは随所にあるが、台湾では上級コースとなっているようだ。
 
 東峰への道はバリエーションルートぽく、鎖場とザレの連続だった。
 しかし、指導標や目印のテープ、鎖はかなりしっかりしていて不安は無い。北アの岩稜を経験していれば十分な程度である。
 ただ、この辺りで標高3,600~3,800mとなり、日本では経験できない縦走となる。
 頭がフラフラしている可能性もあるので、十分注意したいところだ。

 
東峰頂上直下の鎖場(岩はしっかりしているが、ほぼ垂直)、そして東峰頂上。
 
 東峰への最後の登りはほぼ垂直の鎖場だが、岩はしっかりしていて問題無し。
 そして、東峰(3,869m)に登頂。
 昨日の台湾二人組も「玉山に初めて来た外国人が一人で東峰まで行くのはスゴイ。」と言っていたが、それができて嬉しい。(だが、実際にはそれほどハードなわけじゃない。) 
 20分ほど一人で頂上を満喫。

 下りの鎖場を慎重にこなし、再び主峰へ戻る。
 先ほどの悪天が嘘のように落ち着いた主峰にはもはや誰もおらず、ここでもたった一人の頂上を満喫。
 とりあえず目標達成の安堵感をしみじみと感じながら、頂上を後にする。


 
再び主峰を経由してから下山する。
 
 その夜は排雲山荘泊。(素泊まり1,800円+食事三食2,100円+寝袋代1,000円)
 高度と興奮のせいか頭の張りはなかなか消えず、11時間行動で疲れているにも関わらず、なかなか寝付けなかった。

 
排雲山荘の夕食準備(左)と、親切にしてくれた台湾の二人組(右)


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