日程:2018年6月30日(土)-7月1日(日) 前夜発一泊二日
天候:両日とも
行動:単独
参考:webサイト「その空の下で」
「奥秩父・両神の谷100ルート」「関東周辺沢登りベスト50コース」山と溪谷社・刊
今年は観測史上最も早い梅雨明けということで、ナント六月中に梅雨が明けてしまった。
で、こちらは週末をフル活用して山へ行くつもりが、そういう時に限って皆さん別件が入っていたりする。
ということで今回、一人で行こうと決めたのが、奥秩父北面の大荒川谷。
奥秩父の中でもコアな位置にあり、以前から気になっていた沢だ。
今は亡き相棒のタケちゃんによる沢リスト「たけしミシュラン」でも「行くっきゃない!」と評価された最高の四つ☆沢。これは自分も行くっきゃないか。
で、こちらは週末をフル活用して山へ行くつもりが、そういう時に限って皆さん別件が入っていたりする。
ということで今回、一人で行こうと決めたのが、奥秩父北面の大荒川谷。
奥秩父の中でもコアな位置にあり、以前から気になっていた沢だ。
今は亡き相棒のタケちゃんによる沢リスト「たけしミシュラン」でも「行くっきゃない!」と評価された最高の四つ☆沢。これは自分も行くっきゃないか。
一日目
行程:R140号「出会いの丘」6:30-入川渓流釣り場6:50~7:30-赤沢谷出合8:30-登山道-柳小屋10:45-金山沢出合14:40-ゴンザの滝16:35-ビバーク17:00
行程:R140号「出会いの丘」6:30-入川渓流釣り場6:50~7:30-赤沢谷出合8:30-登山道-柳小屋10:45-金山沢出合14:40-ゴンザの滝16:35-ビバーク17:00
前日の金曜夜に横浜を出発。その夜はR140号の雁坂トンネルを抜けた「出会いの丘」PAで車中泊とする。
ここは2005年6月にタケちゃん、juqcho氏と豆焼沢へ行って以来だから実に13年振り。月日が経つのは早いものだ。
ここは2005年6月にタケちゃん、juqcho氏と豆焼沢へ行って以来だから実に13年振り。月日が経つのは早いものだ。
さて、大荒川谷を単独で行く場合、考えなければならないのがそのアプローチだ。
奥深い位置にあるため入渓口と下山口が離れている。
二人以上のパーティーでそれぞれ車を持っているなら、そのうち一台をあらかじめ下山口へ回しておくことができるのだが。
奥深い位置にあるため入渓口と下山口が離れている。
二人以上のパーティーでそれぞれ車を持っているなら、そのうち一台をあらかじめ下山口へ回しておくことができるのだが。
で、今回はチャリンコ作戦で行く。車にミニベロを積んで「出会いの丘」にデポ。
そのまま約7km離れた入川溪谷釣り場へ車で移動し、ここからスタート。
入川釣り場の駐車料金は普通車で500円/日。管理人不在の時は備え付けの封筒に車のナンバーを記載し、釣り場のポストに入れてと書かれていたので、あらかじめ二日分払うことにした。
そのまま約7km離れた入川溪谷釣り場へ車で移動し、ここからスタート。
入川釣り場の駐車料金は普通車で500円/日。管理人不在の時は備え付けの封筒に車のナンバーを記載し、釣り場のポストに入れてと書かれていたので、あらかじめ二日分払うことにした。
そこからしばらくは、よく踏まれた林道を進む。
入川と並行して延びるこの道はそのまま十文字峠へ経て、小川山のある川上村まで繋がっている。昔のトロッコ軌道が残っていたりして、なかなか趣のある道だ。
入川と並行して延びるこの道はそのまま十文字峠へ経て、小川山のある川上村まで繋がっている。昔のトロッコ軌道が残っていたりして、なかなか趣のある道だ。
一時間ほどで赤沢谷出合着。
本来、大荒川谷でより大きなスケールの沢登りを味わうなら、ここから入川のゴルジュに入って金山沢→大荒川谷と繋ぐべきらしいが、今回は単独だし、自分は泳ぎも上手くない。
ヘタにゴルジュ突破にこだわって時間を食ったり低体温症になったりしても良くないので、今回は割愛。
さらに進んで十文字峠への登山道の途中から直接、金山沢出合に到達するルートを選んだ。
ヘタにゴルジュ突破にこだわって時間を食ったり低体温症になったりしても良くないので、今回は割愛。
さらに進んで十文字峠への登山道の途中から直接、金山沢出合に到達するルートを選んだ。
登山道は所々に「十文字峠へ→」と道標があり、わかりやすい。
赤沢谷出合からは入川と離れ、ぐんぐん高度を上げてしまうので少し不安になるが、しばらくするとまた山腹を縫うトラバース道となる。
赤沢谷出合からは入川と離れ、ぐんぐん高度を上げてしまうので少し不安になるが、しばらくするとまた山腹を縫うトラバース道となる。
事前のネット情報では途中の道標の所から左の谷底に向かって、赤テープで目印があってわかりやすいとなっている。
途中、二か所ほどそれらしい道標を通過。しかし、自分が見た記録では出発から三時間となっていたのに、最初の道標は二時間で着いてしまい、もう一つの道標にしても沢へ導く赤テープが見当たらない。
途中、二か所ほどそれらしい道標を通過。しかし、自分が見た記録では出発から三時間となっていたのに、最初の道標は二時間で着いてしまい、もう一つの道標にしても沢へ導く赤テープが見当たらない。
何となくどちらもこれだという決め手が無く汗ダクになって進んでいくうち、入渓口よりずっと先の柳小屋まで来てしまった。
うーん、やっちまったか。これは痛恨のアプローチミス!
しかたなく今来た道を戻る。しかしやはり柳小屋に近い方の道標の周りには赤テープが見当たらない。
暑いし時間も押してきたしで、適当な所から沢を降りてみる。
そのまま入川上部の流れを1時間ほど行ったり来たりするが、どうも肝心の金山沢出合が見つからない。
再び急な斜面を登り、登山道に戻る。まさか、今回はここで敗退か?
しかたなく今来た道を戻る。しかしやはり柳小屋に近い方の道標の周りには赤テープが見当たらない。
暑いし時間も押してきたしで、適当な所から沢を降りてみる。
そのまま入川上部の流れを1時間ほど行ったり来たりするが、どうも肝心の金山沢出合が見つからない。
再び急な斜面を登り、登山道に戻る。まさか、今回はここで敗退か?
よほど居心地の良さそうな柳小屋に戻って今回は釣りに専念しようかと思ったが、ダメ元でもう一つの道標まで戻り、改めて周辺を見て回る。
すると「あった!」
赤テープだ。ただ少し斜面を下った所の木にかなり色褪せた感じで付いているので、パッと見ただけではまずわからない。
それらしい踏み跡をたどっていくと、次々と赤テープが見つかるが、どれもこれも古びた感じでちょっとわかりにくい。
すると「あった!」
赤テープだ。ただ少し斜面を下った所の木にかなり色褪せた感じで付いているので、パッと見ただけではまずわからない。
それらしい踏み跡をたどっていくと、次々と赤テープが見つかるが、どれもこれも古びた感じでちょっとわかりにくい。
足元の悪い急な斜面を降りていくと、まさにそこが金山沢出合だった。
入川ゴルジュをパスして時間を稼ぐつもりが、とんだアプローチミスで大幅にタイムロス。しかし、気を取り直してここから再スタート。
しばらくゴルジュ帯を進む。
滝はそれほど高さはないが釜はどれも深そうで、また滝の水量から見てもとても直登できないか、する気になれない。
滝はそれほど高さはないが釜はどれも深そうで、また滝の水量から見てもとても直登できないか、する気になれない。
途中、左手に細引きがFIXされたりしているが、適当に右に左に巻いていくと、やがて「ゴンザの滝」。
ここも直登は無理で、左岸から巻く。
で、本日のところはゴンザの滝上まで。右岸のビバーク適地にタープを張る。
ゴンザの滝。左岸から巻く。
火を熾した後、1時間ほど釣りをする。しかし、当たりが無い。
入川本流ではけっこう魚影を見かけたが、ネットの記録では(タケちゃんも含めて)ここ荒川谷ではあまり釣れたという話を聞かない。
とにかく今日は疲れた。酒を飲んだらそのままタープの下で爆睡してしまった。
二日目
行程:ゴンザの滝上6:20-小荒川谷出合7:35-20m滝9:40-三俣10:55-稜線12:30~13:00-雁坂小屋14:00-黒岩尾根-出会いの丘16:40
行程:ゴンザの滝上6:20-小荒川谷出合7:35-20m滝9:40-三俣10:55-稜線12:30~13:00-雁坂小屋14:00-黒岩尾根-出会いの丘16:40
昨日は汗ダクになって山道を徘徊したものだから股ズレができてしまい、かなりヒリヒリしていたのだが、一晩経ったらまぁ何とか大丈夫そうでホッとした。
朝、軽く火を熾してまた釣りをしてみる。
昨夕と同じく当たりも魚影もまったく無し。場所が悪いのか。
早々と諦め、ビバーク地を撤収して遡行を再開。
朝、軽く火を熾してまた釣りをしてみる。
昨夕と同じく当たりも魚影もまったく無し。場所が悪いのか。
早々と諦め、ビバーク地を撤収して遡行を再開。
タケちゃんの記録では「ゴンザの滝を越えるとナメが多くなってくる」とあるが、ナメというよりは小滝が続く。
やがてゴルジュの中の三段(?)滝。
彼らは泳ぎ覚悟でシャワーを浴びながら突破したらしいので、敢えてゴルジュへ。
しかし、一段上がってみると、奥の滝は水流激しくとてもその気になれない。
やがてゴルジュの中の三段(?)滝。
彼らは泳ぎ覚悟でシャワーを浴びながら突破したらしいので、敢えてゴルジュへ。
しかし、一段上がってみると、奥の滝は水流激しくとてもその気になれない。
しまった!騙されたか(笑)と思ったが、もはや後の祭り。
一段上がると下降もイヤらしく、とにかく右か左か壁を登ってゴルジュから抜け出さなければならない。
で、今回の遡行で一番シビれたのはここ。
左壁は落ちるとそのまま、さらに下の深い滝壺にドボンなので右壁(6mほど)を選ぶが、ここも一か所がツルツルでまるでフェルトソールが効かない。
左壁は落ちるとそのまま、さらに下の深い滝壺にドボンなので右壁(6mほど)を選ぶが、ここも一か所がツルツルでまるでフェルトソールが効かない。
途中、古い残置ハーケンがあった。が、根本まで打たれておらずグラグラしているので、とてもA0する気になれない。
しばらく迷った後、最後は気合のボルダームーブで何とかツルツル壁を突破。上段は被ったルーフ状のチムニーになっているので空荷で登って後からザックを釣り上げた。
おそらく5級ぐらいだろうけど、一人なのでけっこう緊張した。
おそらく5級ぐらいだろうけど、一人なのでけっこう緊張した。
ゴルジュの中の悪いツルツル壁。カムを持ってきて正解だった。
ゴルジュを過ぎると、左から小荒川谷と出合う二俣となる。
沢はここまでは金山沢で、ようやくこの先から大荒川谷と名前を変えるようだ。
沢はここまでは金山沢で、ようやくこの先から大荒川谷と名前を変えるようだ。
大荒川谷に入り、しばらく岩がゴロゴロした小滝群が続く。流れの中を行ったり、軽く巻いたりして先へ進む。
今の季節、緑の苔がとても鮮やか。昨日、今日と大荒川谷は自分一人で貸切である。
小荒川谷出合
とある淵でフイに岩魚を発見!急いで身を隠して釣り糸を垂れるが、やはり釣れず。残念!
よほどスレているのか、それともこちらの腕が悪いのか。たぶん後者だろう。
とある淵でフイに岩魚を発見!急いで身を隠して釣り糸を垂れるが、やはり釣れず。残念!
よほどスレているのか、それともこちらの腕が悪いのか。たぶん後者だろう。
やがて大きめの滝(15~20m級)が間隔を置いてドカンドカンと現れる。
この辺りからが大荒川谷のハイライトである。
思いがけず大滝が現れると、「マジか!」「ここ一人で越えられるのか?」と一瞬不安になるが、案ずるより産むが易し。
この大荒川谷は高さはあるが直登できるもの、あるいは奥まで進むと簡単に越えられたりと技術よりも度胸を試される滝が多い。
この辺りからが大荒川谷のハイライトである。
思いがけず大滝が現れると、「マジか!」「ここ一人で越えられるのか?」と一瞬不安になるが、案ずるより産むが易し。
この大荒川谷は高さはあるが直登できるもの、あるいは奥まで進むと簡単に越えられたりと技術よりも度胸を試される滝が多い。
上部に行くと滝もスダレ状になり、陰鬱なゴルジュから癒しのナメ系に溪相が変わってくるが、それでも次々と見栄えのする滝が現れ、まだ来るか、そう来たかとまったく飽きさせない。
やがて三俣。
水量比は向かって左から3:2:1で、特に一番右の枝沢はブッシュに被われ、チョロチョロとした流れなので目立たない。
ここはセオリーどおり左俣へ。
水量比は向かって左から3:2:1で、特に一番右の枝沢はブッシュに被われ、チョロチョロとした流れなので目立たない。
ここはセオリーどおり左俣へ。
すぐに倒木が入り乱れた沢筋となり、そのまま長いゴーロとなる。
タケちゃんの記録で上部は小さいブヨが顔に集まり「こりゃぁたまらん状態」になったというので、今回は防虫ネットを用意。
これはとても役立つ。夏の沢では必携である。
タケちゃんの記録で上部は小さいブヨが顔に集まり「こりゃぁたまらん状態」になったというので、今回は防虫ネットを用意。
これはとても役立つ。夏の沢では必携である。
大荒川谷は奥秩父の中でも奥に位置する割にはやはり人気なようで、詰めはヘンにハズさなければゴーロの中に踏み跡が見つかる。
それなりにシンドイものの、足場は比較的しっかりしていた。
そのままヤブ漕ぎ無しで、破風山と雁坂嶺との間のコルに到着し、ここで沢装備を解く。
後は雁坂嶺、雁坂峠と歩いていく。
それなりにシンドイものの、足場は比較的しっかりしていた。
そのままヤブ漕ぎ無しで、破風山と雁坂嶺との間のコルに到着し、ここで沢装備を解く。
後は雁坂嶺、雁坂峠と歩いていく。
雁坂小屋からの下山は最短の黒岩尾根へ。(終点の出会いの丘にミニベロをデポしてあるため。)
距離は少し長くなるが、単独で自転車も無い時はもう一つの突出尾根も使えることがわかった。
黒岩尾根は距離にして8km弱らしいが、疲れた身体にはけっこう堪える。
それでも最後に嬉しいプレゼント。出会いの丘から車の置いてある入川釣り場付近まで約7kmのミニベロ・ダウンヒルは爽快だった。
それでも最後に嬉しいプレゼント。出会いの丘から車の置いてある入川釣り場付近まで約7kmのミニベロ・ダウンヒルは爽快だった。
往きは中央道経由だったが、帰りは秩父回りで。道の駅「大滝温泉・遊湯館」で〆。
今回、8mm×30mのロープを持っていったが、使わなかった。総合力が求められ、中級者向きの良い沢だと思う。