万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

政府と日本郵政が共倒れになるリスク

2010年04月01日 15時40分34秒 | 日本政治
郵便事業、8年ぶり赤字転落へ…10年度計画(読売新聞) - goo ニュース
 報道によりますと、日本郵政の郵便事業は、8年ぶりに赤字に転落したと報じられています。赤字を計上したのはあくまでも郵便事業であり、郵貯銀行やかんぽ生命保険の事業は、減収となりつつも黒字のようなのですが、今後、政府の関与が強まりますと、さらに収益が悪化することも充分に予測されます。

 一般的には、金融機関への政府関与の強化という方向性は、金融機関が破綻の危機に直面するに際して用いられる方法でもあります。リーマン・ショック以来、金融危機に見舞われた諸国では、政府が救済に乗り出す事例が見られました。しかしながら、日本郵政の場合には、こうした救済型の”公営化”とは理由が逆なようなのです。政府の財政リスクを救済するために、民間機関であるはずの日本郵政が”公営化”されるのですから。しかも、政府内では、環境事業や公共事業を始め、政府の”第二財源”として運営することも検討されているようです。公的な事業は営利目的ではありませんし、”箱物”が、有利子負債と化すことも珍しくありませんので、不良債権が発生する可能性もあります。また、方針通りに、非正規社員10万人が全て正社員化されますと、経営コストは当然に上昇します(民主党は、”郵政票”の取り込みを狙ったとも・・・)。

 郵政民営化の後戻りが、政府の財政リスクの民間への移転、政党の利権、ならびに、特定組織票の思惑の合体であるならば、将来において、国民をも巻き込んだ共倒れになる可能性は否定できないと思うのです。

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コメント (4)
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