万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ギリシャはディオニュソスに回帰したのか

2010年05月08日 16時44分36秒 | ヨーロッパ
ギリシャ、国民の反発収まらず アテネで警官とまた衝突(共同通信) - goo ニュース
 ギリシャ救済策が決定されたことを受けて、緊縮財政を迫られているギリシャでは、国民の反発が暴動にまで発展しているようです。治安の悪化も懸念されており、破壊衝動は留まることを知りません。

 こうしたギリシャの状況を見ておりますと、つい、ギリシャ神話に語られるディオニュソスを思い出してしまうのです。ディオニュソスは、お酒の神様として知られていますが、秩序を乱す狂気の神でもありました。ギリシャでは、国民の4分の1が公務員とも言われ、また、闇経済が蔓延り、不公正な税制も指摘されています。こうした体制が長期的に続けば、経済が破綻することは目に見えており、痛みを伴う構造改革が必要なことは、自明のことです。しかしながら、ギリシャ国民の多くは、自らの置かれている立場を充分には理解しようとはず、他国に及ぶ迷惑や被害についても無頓着なようなのです。ひたすら、荒れ狂うことで、不満を破壊行為で表現しているように見えるのです。

 破壊するだけでは、何物も生まれないのですから、そのエネルギーを経済の再建に向けたほうが、遥かに建設的です。いつまでも、破壊に明け暮れても、道は開けないと思うのです。因みに、ディオニュソスは、再生の神でもあったそうです。

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ギリシャ悲劇―ギリシャのユーロ離脱というシナリオ

2010年05月08日 15時39分40秒 | ヨーロッパ
“ギリシャ悲劇”終幕は? ユーロ崩壊の危機も(産経新聞) - goo ニュース
 古代のギリシャ悲劇は、究極の選択を迫られた人間の破滅を描くことで、見る者の心を揺さぶってきました。ギリシャの財政危機から端を発した現代のギリシャ悲劇にも、人間に究極の選択を迫る筋書きが見え隠れしています。

 究極の選択。それは、ユーロを救うのか、ギリシャを救うのか、という選択です。最大の悲劇は、共通通貨、ユーロの崩壊とされていますが、このシナリオでは、ユーロ導入国はESCBの運営を停止し、自国の中央銀行の下で独自通貨を復活させることになります。欧州諸国が追い求めてきた共通通貨ユーロの夢は潰えることになるのです。もう一方の選択肢は、ギリシャをユーロ圏から離脱させることです。ギリシャを切り離すことで、ユーロは信頼性を回復することができますので、他の諸国への危機の波及を最小限に留めることができます。

 どちらを取りましても、犠牲が生じるですが、もしかしますと、ギリシャの離脱を認める方が、当のギリシャにとりましても、破滅の後の救いとなるかもしれません。何故ならば、自国の中央銀行に救済を求めることができますし(本来、望ましくないのですが・・・)、結果としてユーロに対してギリシャ通貨の為替相場が下落すれば、ギリシャ経済は、幾分なりとも競争力を回復することができるからです。現代のギリシャ悲劇は、13兆円の融資で事無きを得るかもしれませんが、観客もまた、いつの間にか舞台に立っているという意味において、古代の悲劇よりも深刻かもしれません。

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