万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

感染症対策のイノベーションは人工無毒化・自滅化ウイルスの開発では?その1

2021年12月22日 11時18分53秒 | 国際政治

 新型コロナウイルスの起源については、武漢に設置されていたレベル4のウイルス研究所からの流出説が信憑性の高い説として、今日に至るまで囁かれています。しかも、遺伝子操作により人為的に造られた人工ウイルスであった可能性も高く、コロナ化とは、今日の遺伝子工学の先端性をも明らかにすることとなったのです。その一方で、現代の高度な遺伝子工学は、遺伝子(核酸)ワクチンという新たなタイプのワクチンを登場させています。いわば、ウイルスとワクチンとの間のテクノロジーの応酬の観を呈しているのですが、今般のデルタ株の消滅とオミクロン株の出現は、感染症対策におけるイノベーションの可能性を示唆しているように思えます。新たな感染症対策とは、高い感染力、寄宿性、一本鎖いう新型コロナウイルスの特性を逆手にとった無毒化、並びに、自滅化ウイルスの開発です。

 

今般、全世界の関心を集めているオミクロン株については、感染性は極めて高いものの、その有毒性については従来株やデルタ株といった他の変異株より弱まっているとされています。このため、オミクロン株による他の株の’駆逐’は、むしろコロナ禍収束をもたらすのではないかと期待されているのです。このことは、感染性が最も高い変異株が、弱毒株よりさらに安全な無毒株、あるいは、増殖不能な自滅株であれば、人々を苦しめてきた疫病も終息する可能性を示しています。

 

 病気を引き起こす有毒なウイルスであっても、宿主を死に至らしめると自らも滅ぶため、自然に弱毒化するとされています。ウイルスが他者に寄生せざるを得ない存在である以上、宿主との共生がウイルスの当然な生存戦略なのでしょう。そして、現代の遺伝子工学のレベルからすれば、感染性の高い無毒化株を人工的に作成するのは可能なはずです(人の介入により無毒化のプロセスを早める…)。そして、宿主との共生が実現するのであれば、ウイルスも、もはや変異する必要性もなくなるのです(強毒化への逆もどりもない…)。自然であれ、人工であれ、無毒化ウイルスの登場は、疫病禍に終止符を打つ可能性を秘めています。

 

もう一つ、終息力が期待される人工ウイルスがあるとすれば、それは、「エラー・カタストロフの限界」に基づく自滅化ウイルスです。一本鎖のRNAウイルスには変異しやすいという特性がありますが、この特性は、同ウイルス最大の弱点ともなり得ます。何故ならば、修復機能を担うnsp14が欠損すると、変異のし過ぎで最早ウイルスは増殖することができなくなるからです。人工自滅化ウイルスのケースでは、有害ウイルスそのものの消滅によって疫病禍に幕が下ろされることとなります。

 

 ウイルスの人工無毒化・自滅化技術が確立すれば、それは、ワクチンよりも遥かに人体に対して安全であり、様々な点で優れています。全く以って無害である点が最大の優位点ですが、その他にも、ワクチンと比較しますと、以下のような利点があります。

 

 第1に、人工無毒化・自滅化ウイルスは、ワクチンよりも遥かに短期間で感染症の拡大を終息させることができます。ワクチンには、全人口に供給可能な数の生産、並びに、全国規模での接種体制を整えるために相当の時間と手間を要します。また、体内に投与された成分によって体内で抗体が生成されるまで、およそ2週間の期間を待たなければなりません。一方、感染力の強い人工無毒化・消滅化ウイルスの場合には、遺伝子ワクチンと同様に、遺伝子配列さえ判明していれば、即応可能ですし、その高い感染力によって、既存の有毒株を排除しながら瞬く間に全世界に広がることでしょう。

 

 第2のワクチンに対する優位点は、低コストであることです。全国民を対象としてワクチン接種を実施し、かつ、その体制を長期的に維持しようとすれば、莫大な予算を要します。とりわけ、遺伝子ワクチンであれ、不活化ワクチンであれ、ワクチンを製造し得る大手製薬メーカーを国内に持たない諸国は、常にワクチンを海外から輸入しなければならず、財政の圧迫のみならず、貿易収支の悪化原因ともなりましょう。人工無毒化・消滅化ウイルスであれば、最初の開発費、並びに、散布費のみを要するに過ぎず、後は、放っておいてもウイルス達が勝手に目的を達成してくれます。

 

 第3に挙げられる利点は、感染症の蔓延防止を目的とした規制措置を要さず、経済にマイナス影響を与えないところにあります。人と人との接触機会が多い方が人工無毒化・消滅化ウイルスは広がりやすくなりますので、今日規制を受けている観光や飲食店の利用、あるいは、イベントへの参加などは、逆に奨励されるかもしれません。ロックダウンも、当然に不要です。そのまま経済活動を維持できるのですから、‘命か、経済か’という究極の二者択一から逃れることもできます。

 

 そして、第4の利点とは、国民の基本的な自由や権利が害されない点です。先ずもって国民はワクチン接種義務化の恐怖から逃れられますし、ワクチンパスポートによって未接種者が社会から排除されたり、接種者が政府からデジタル監視される心配もなくなります。言い換えますと、政府が非常事態宣言を発して’準全体主義体制’を敷く必要性も消えるのです。

 

 以上に述べてきましたように、人工無害化ウイルス・消滅化ウイルスによる対応は、ワクチン接種よりも優っているように思えます(つづく)。


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