万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

先の戦争は侵略戦争と言い切れるほど単純ではない

2010年08月17日 15時44分53秒 | 国際政治
首相「アジア諸国に損害」 全閣僚靖国参拝せず 民主党政権下 異例の8・15(産経新聞) - goo ニュース
 日本国政府は、先の戦争を、日本国によるアジア諸国に対する侵略戦争であったと決めつけているようです。しかしながら、この見方は、あまりに単純化されていますし、事実に反する可能性さえあります。

 第二次世界大戦の発端は、ナチス・ドイツとソ連邦によるポーランド侵攻から始まったことは確かなことです。しかしながら、日中戦争の発端となった盧溝橋事件は、中国側からの発砲であったとする説が有力であり、先制攻撃が中国側にあるとしますと、侵略戦争説は成り立たなくなります(コミンテルン陰謀説も・・・)。太平洋戦争では、宣戦布告なしの真珠湾攻撃が先制攻撃と見なされたのですから、なおさらのことです。

 東南アジア諸国についても、当時、これらの諸国は、欧米列強植民地支配下にありましたので、直接には干戈を交えてはいません。アジアの地を戦場にし、戦闘に巻き込んで被害を与えた責任があるとしますと、それは、植民地を保有していた連合国側と枢軸国側の双方にあります。また、この点については、日本国の基本的な立場は、むしろ”植民地解放”にありました。

 韓国・北朝鮮は日本国に併合されており、志願兵は日本軍の一員として戦争に参加しております(朝鮮人将校もいたはず)。両国は、自らを被害者であると強調していますが、先の戦争では、両国には被害を与えてはいません。

 そうして、戦争の性格は、戦況によっても変化します。ミッドウェー海戦での敗北を転機として、日本国の戦争は、防衛戦争へと転換しました。以後、日本国民の多くは、祖国を守るために、帰らぬことを覚悟で絶望的な闘いに臨むことになったのです。

 靖国神社には、純粋に植民地解放の大義を信じ、あるいは、祖国を守らんがために、命を捧げられた方々が祀られています。先の戦争の内包する多面性を無視し、”侵略戦争”とだけ断定して事実に目をそむけようとする政府の態度こそ、むしろ、歴史を直視していないと思うのです。

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1 コメント

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Unknown (ふゆ)
2010-08-18 18:30:51
 当たり前だ。負けて、講和条約で、東京裁判の結果を受け入れた以上、”日本が侵略した”と受け入れている。嫌なら、対米戦争を、もう一度、やればよい。
 安倍を見れば、すぐわかる。戦後レジームの改正と言いながら、ブッシュにどやされると、河野談話、村山談話を継承すると言ったじゃないか?対米戦争をやり直す気概もなくて、つまらないことを書いても、しょうがない。
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