万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国―”正義の革命”が破壊した正義感

2011年10月29日 16時14分57秒 | アジア
世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」 2歳児ひき逃げ事件「我関せず」映す 中国社会にはびこる「義を見てせざる勇なき人々」(日経ビジネスオンライン) - goo ニュース
 中国における道徳観や倫理観の欠如は、内外において深刻な問題を引き起こしているようです。政府レベルの腐敗も然ることながら、先日は、通行人の無関心から、二歳の幼い女の子が命を落とすという痛ましい事件も報じられています。

 革命には、常に正義がスローガンに掲げられるものであり、中国の共産革命もまた、この例外ではありません。既存の社会の腐敗や不正を激しく糾弾し、国民にその打倒を訴えることで、暴力革命を正当化したのですから。共産党が権力を独占する一党独裁体制は、正義が実現した理想の国家のはずでした。しかしながら、革命政府は、勢い余って、革命を成功させた原動力でもある国民の”正義感”をも破壊してしまったようです。あるいは、二度と正義感に駆られた革命が起きないよう、革命政府は、国民の心に備わっている”原動力”を意図的な破壊してしまったのかもしれません。何れにしても、国民の間に、他者を思いやる心も、そして、見返りを求めずに他者を助ける心も消えてしまったのです。後に残るのは、利己心だけ、ということになります。

 ”正義の革命”が、国民の正義感を破壊したとしますと、それは、何とも、皮肉なことなのではないでしょうか。

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