万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

昔は奴隷で今は人権保護という奇妙な移民政策

2014年11月15日 15時26分32秒 | 国際政治
 近代以降、奴隷貿易は、非人道的な行為として国際法においても禁じられてきました。しかしながら、移民政策という視点から見ますと、理由付けは正反対であっても、昔も今もその本質は変わらないのではないかと思うのです。

 大航海時代の幕開けと共に奴隷貿易が活発化した理由は、新大陸等において労働力が不足したからです。新たに海外に領土を取得した西欧列強は、植民地に大規模なプランテーションを建設すると、農作業に従事する労働者として、アフリカ大陸から大量の奴隷を輸入しました。一方、奴隷貿易や奴隷制が消滅した今日にあっても、労働力不足、あるいは、より安価な労働力の確保を目的とした”人の輸入”は続いています。今日では移民と呼ばれ、奴隷とは真逆に、移民は、移民する側の人権保護の一環とする論調が広がっています。昨晩も、NHKの時事番組で、”生活の糧を求めて新天地を目指す人々の手助けをしているだけ”と自己弁護する、北アフリカからヨーロッパへの密入国者を手助けする仲介業者の言い分に、出演者が理解を示していました(事業者の中には、密航者とのトラブルにより密航船を故意に沈没させる悪徳業者もいる…)。公共放送でありながら、違法行為を容認するコメントを報じることにも呆れますが、移民問題は、純粋に個人の自由や権利の保障として捉えるのは適切なのでしょうか(受け入れ国側で発生する問題は無視…)。奴隷貿易が今な癒しがたい傷跡を残しているように、今日あっても、移民の増加は、解決が困難な社会問題を引き起こします。国籍制度が整っている現代にあっては、国際問題、あるいは、政治問題化することさえあるのです。移民とは、国民統合、あるいは、社会統合の文脈で捉えるべき分野なのではないでしょうか。

 日本国でも、労働力不足を根拠として大量の移民受け入れも已むなしとする見解も聞かれます。人道面が強調されながら、その実、奴隷貿易の時代と変わらず、永続性を持つ社会的な不安定要因であることを考えますと、移民政策を推進すべしとは、到底、言えないのではないかと思うのです。

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円安対策は民間協力でできるのでは?

2014年11月14日 11時16分34秒 | 日本経済
7年1カ月ぶり円安ドル高 一時116円20銭付近、米国株高や消費税再増税延期で(産経新聞) - goo ニュース
 報じられるところによりますと、遂に、円相場は116円20銭に下落し、7年1か月ぶりの円安を記録したそうです。解散観測の下、自民党などでは円安対策を選挙公約に加える方針とも伝わりますが、円安対策は、全てとは言わないまでも、民間協力でも可能なのではないかと思うのです。

 円安に振れますと、原料を諸外国から輸入して製品を生産している事業者が打撃を受ける一方で、国際的に価格競争力をアップさせた事業者が恩恵を受けます。言い換えますと、為替相場の変動は、輸入依存の事業者と輸出関連の事業者とでは、正反対の効果が及ぶのです。どちらかに利益が偏る状態にあっては、今般の円安のように、不利益を被る側の事業者から政府に対して円安是正や円安対策を求める不満の声が上がります。公平性が求められるため、政府としても対応に苦慮することになるのですが、仮に、輸出関連の事業者が、原材料費の値上がりで収益悪化に苦しむ部品製造業者に対して、製品価格の値上げを認めるならば(あるいは、価格交渉要求権を認める…)、この問題は半ば解決します。また逆に、円高が亢進して輸出業者が悲鳴を上げる場合には、円高利益に浴している部品製造業者に対して値下げを要求できる権利を認めるならば、この合意は双方にとって為替変動に対するリスク・ヘッジ、つまり、保険ともなります。双方で公式に協定を結べは、少なくとも製造業においては、長期的なリスク回避メカニズムとして機能することが期待できます。

 あらゆる問題に対して政府が対策費として予算を計上し、財政支出を増やしますと、今でも最悪な財政状況はさらに悪化するばかりです。民間で解決できる問題は、民間自らが知恵を絞り、自らの問題として率先して問題解決に当たるべきではないかと思うのです。

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解散総選挙-新自由主義政策の軌道修正か促進か

2014年11月13日 15時40分49秒 | 日本政治
首相、来月の総選挙決断 重要法案、廃案の危機(産経新聞) - goo ニュース
 ここ数日、マスコミ等では、首相が衆議院の解散総選挙を決断するとの憶測を報じております。安倍首相が解散総選挙に踏み切るか否かは、現時点では定かではありませんが、国民として不安な面があります。

 不安な面、それは、総選挙が新自由主義的な政策の軌道修正を意味するのか、それともその逆に、促進を意味するのか判然としない点です。前者であるとする見方は、解散が浮上したことから廃案の危機にある法案とは、”新自由主義的”と評されるものが多いことによるものです。これらの法案とは、「女性活用推進法案」、「労働者派遣法改正案」、「風俗法改正案」、「カジノ法案」であり、国民世論の反対が強い法案が多数を占めています。また、自民党の選挙公約案も報じられておりますが、これらの公約にも、移民受け入れ促進といった国民から反発を受ける項目は見当たりません。その一方で、促進効果を予測する意見としては、現時点で総選挙を実施しておけば、後4年間は自民党政権が安泰となるため、積み残した構造改革を大胆に実施できるというものです。果たして、どちらの見方が正しいのでしょうか。

 少なくとも、選挙後の政策方針が曖昧ですと、国民は、選択に迷うことになります。仮に解散となるならば、各政党とも、明確、かつ、誠実に自らが目指す方向を示していただきたいと思うのです。

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米中首脳会談-温暖化ガス削減合意は中国に有利過ぎる

2014年11月12日 16時15分09秒 | 国際政治
米中首脳会談 温室効果ガス削減で合意 南シナ海など対立も(産経新聞) - goo ニュース
 APECでは、中国の習習主席は、米中関係を新たな段階に引き上げるとして、オバマ大統領に対しては長時間にわたる首脳会談に応じたそうです。早々に米中合意の内容が発表されましたが、アメリカは、中国に対して譲歩し過ぎたのではないかと思うのです。

 米中首脳会談の成果として注目を集めているのは、温室効果ガスの削減合意です。アメリカが、2025年までに温暖化効果ガスを26~28%削減する一方で、中国は、2030年をピークとして、以後、温暖化ガスの排出削減に取り組むというものです。これまで、中国は、温暖化ガス削減の枠組みに積極的には加わらず、極めて非協力的な態度に終始してきましたので、削減に向けた共同歩調を取ることを約した点で、評価されているのかもしれません。しかしながら、この合意内容、よく考えても見ますと、極めて中国に有利です。中国は、今後、2030年までの16年間という長期にわたって、温暖化ガス削減義務を免除されたことになるからです。その一方で、アメリカのみならず、EUでは、2030年までに4割削減という野心的な目標を掲げており、2030年までの期間、中国と欧米では、温暖化ガスの排出に関して、プラス・マイナスの正反対の現象が発生することになります。中国では増加し、欧米では減少するという…。このことは、最悪の場合には、厳格な削減義務を課せられている欧米から輩出無制限状態の中国へと、さらなる生産拠点の移転が起きる可能性を示しています。

 現在、アメリカは、”シェールガス革命”により経済が持ち直してきておりますが、高い削減目標の設定は、燃焼に際して二酸化炭素を排出するシェールガスの生産や輸出にも影響を与えるはずです。その一方で、自然エネルギーの分野でも、中国は、国策として太陽光パネル産業を育成し、各国の規制強化はビジネス・チャンスとなるでしょうし、何よりも16年間のフリーハンドを得たのですから、内心、ほくそ笑んでいることでしょう。あくまでも米中合意であるとはいえ、温暖化ガス削減合意は、中国一国が繁栄する一方で、先進国の産業の空洞化を促進させるマイナス影響を与えるのではないかと思うのです。

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日中首脳会談-属国化しなければ満足しない中国

2014年11月11日 15時35分46秒 | その他
尖閣・靖国「棚上げ」=対中修復演出―安倍政権(時事通信) - goo ニュース
 昨日、中国の北京において2年ぶりに開催された日中首脳会談。日中関係改善の転機との事前予測も虚しく、日本国の安倍首相に対して無視を決め込んだ習近平国家主席の大人げない態度に、驚きの声が上がっています。

 中国のご機嫌を損ねたとして安倍首相に対して批判的な論調のマスコミも少なくありませんが、中国首脳が、日本国の首脳を歓迎しないのは当然といえば当然のことです。それは、満面の笑みを以って習主席から歓迎を受けたと報じられている韓国のケースと比較しますと、一目瞭然です。儒教の国では、格上の者と格下の者とが握手をするときには、格下の者が自らの左手を握手している相手の右手に添えるという礼儀作法があるそうです。儒教国の伝統的な序列志向の現れなのですが、習主席と朴大統領が握手している写真を見ますと、朴大統領の左手は、習主席の右手にしっかりと添えられているのです。つまり、韓国は、中国に対して”臣下の礼”を採っているのであり、中国は、属国をアピールする韓国に対して心底満足しているのです。そのうれしさは、習主席の笑顔に確認することができます。一方、日中両首脳の握手の写真はどうでしょうか。安倍首相の左腕はぴたりと下げられたままであり、右手だけで握手をしております。つまり、日本国の首相は、中国の主席に対して両国対等を以って接しているのです。

 中国は、日本国が属国となるまで満足しないのですから、周辺国の属国化を目論む中国を批判こそすれ、中国側の冷たい態度を悲観したり、日中首脳会談は失敗であったと落胆することもありません。むしろ、日中首脳会談は、主権平等の原則を無視してかかる中国という国の本質と、日本国への属国要求を明らかにしたのではないでしょうか。

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中国の主張を逆手に取る方法-日中合意文章

2014年11月10日 15時12分18秒 | アジア
3年ぶり日中首脳が会談 関係改善に向け一歩(産経新聞) - goo ニュース
 日中合意文書の発表に際して、中国では、あたかも日本国政府が、尖閣諸島の領土問題化を認めたかのような報道ぶりであったそうです。しかしながら、中国側の主張を逆手に取る方法がないわけではありません。

 日本語版の合意文章では、「近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し」と述べ、危機管理メカニズムの構築に重点を置いており、領有権問題には一切触れていません。一方、中国側は、日本側が間接的にではあれ、尖閣諸島の領土問題化を認めたと解釈しているらしく、今後の出方が注目されます。ところで、中国側は、日本国が、何はともあれ自国とは異なる中国側の”見解”を認めたことを外交的な成果として強調しておりますが、この”見解”は、必ずしも中国側の領有権主張の正当性を意味するわけではありません。領土問題化とは、双方が相手国の歴史的、並びに、法的根拠を認めることですが、ここで言う”見解”を、中国側の尖閣諸島に対する侵略的意図と解すれば、領土問題化とイコールではなくなります。つまり、中国側の独自の見解こそが、国際法に反する他国の領土に対する侵略的意図であると主張し、領有権主張の不当性を問うことができるのです。ですから、今後、中国政府が、今般の日中合意文書に基づいて、尖閣諸島に関する共同開発や領土交渉等を求めてきた場合には、日本国政府は、従来通り中国の領有権主張の正当性は認めていないとして、ICJへの提訴を薦めることができます。中国は、日本国が、今後とも平和国家として歩むことを強く求めていますので、本来、司法解決を拒絶することはできないはずです。

 尖閣諸島について、中国が最も回避したいのはICJでの解決です。何故ならば、中国には法的根拠が一切ないからです。中国側が自発的に領有権主張を取り下げない限り、ICJでの解決こそ、日本国が国際社会から”右傾化”の批判を受けることなく、尖閣諸島に対する中国の主張を退ける最善の方法であると思うのです(日本国側がICJでの解決を訴えている限り、中国の武力行使は国際社会から批判を受け、たとえ軍事占領したとしても、正当な領有権は成立しない…)。

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日中首脳会談では法の支配の提起を

2014年11月09日 15時40分18秒 | アジア
首相3か国歴訪へ…日中首脳の信頼構築が焦点(読売新聞) - goo ニュース
 日中首脳会談を目前にして公表された「日中関係の改善に向けた話し合い」。日本側の譲歩の色が濃く、中国側の意向が強く反映された内容となっております。

 特に懸念すべきは、「日中関係の改善に向けた話し合い」の文章を丁寧に読んでみましても、”国際法”や”法の支配”と言う言葉が見当たらないことです。日本国政府は、これまでも、国際社会において法の支配の重要性を訴え、国際法に則った紛争の解決を目指してきました。安全保障に対する最大の脅威であり、かつ、無法国家である中国に対してこそ、この点を強調しなければならないはずなのですが、合意文書には、最重要であるべき法の支配が抜け落ちているのです。おそらく、国際法を破ることで覇権を追求してきた中国が、自らの行動を縛ることになる”法”という文字に忌避したのでしょう(中国式の命令としての”法”ではなく、一般的なルールとしての”法”…)。しかしながら、日本国の最大の武器は、”法”であるはずです。最も効果的な”武器”を捨てた、あるいは、捨てさせられたのでは、後は、中国の言いなりになるばかりです。

 もっとも、合意文書の第一点で遵守すべきと述べられている”日中間の四つの基本文書”には、「国際連合憲章の原則に基づき、日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力叉は武力による威嚇に訴えないことを確認する(日中共同声明第6条後段)」との一文が見られます。この条文に従えば、日中首脳会談において、平和的解決方法の一つとして、尖閣諸島に関する司法解決を中国側に求めることもできるはずです(中国側からのICJへの提訴の要請…)。安倍首相には、”人の支配”を目指す中国のペースに嵌ることなく、法の支配を尊重する姿勢を貫いていただきたいと思うのです。

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日中合意文書-解釈の違いが戦争リスクを高める

2014年11月08日 15時53分48秒 | アジア
「領土問題、認めていない」…合意文書に石破氏(読売新聞) - goo ニュース
 APECにおける首脳会談にまつわる取引なのか、日中両政府は、合意文書なるものを公表しました。この合意文書には幾つもの問題点が潜んでおりますが、本日は、第3点に上げた危機管理に関する合意が、逆に戦争のリスクを高める可能性について指摘しておきたいと思います。

 外務省のホームページでは、当合意文書については、合意に至るまでの詳細な交渉過程について解説は付されておらず、合意内容とされる4点だけを箇条書き風に掲載しています。所謂”秘密外交”の結果なのですが、その第3点には、「双方は,尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐとともに、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた。」とあります。日本側の説明では、両国の異なる見解の認識は、”緊張状態”を受けており、領土問題を認めたわけではないとのことです。外務省が公表している英語版を読めば、日本側の解釈を確認することができます。ところが、報道によりますと、中国メディアでは、当合意文書において、あたかも日本国政府が尖閣諸島の領土問題化を認めたとする論調が見られ、日本側との間に正反対ともいうべき解釈の違いを見せています。国営新華社通信では、政府系シンクタンクである中国社会科学院日本研究所の高洪副所長の解説として掲載しておりますので、中国政府が、当合意文書によって、日本国政府から尖閣諸島の”領土問題化”の言質を採ったと見なしている可能性が高いのです。日中両国による合意文書の解釈の違いは、今後、どのような影響を与えるのでしょうか。日本国側は、安全保障上のリスクが下がったと理解しているようですが、中国側からしますと、尖閣諸島に対する武力行使のハードルが下がったことを意味しかねません。いざ、武力に訴えたとしても、国際社会に対して、日本国は領土問題化を認めたと説明することができるのですから。そして、今後は、より積極的に、巨額のチャイナ・マネーを武器として国際的なプロパガンダを展開することでしょう。また、日本国政府が、尖閣諸島の防備を強める方向に動きますと、中国国民は領土問題化されたと信じているわけですから、その反発は、国有化時を凌ぐ可能性もあります。”緊張状態”に関する両国間の認識の違い以上に、日中合意文書の解釈の違いは、将来において、深刻な問題をもたらすかもしれないのです。

 尖閣諸島は、紛れもない日本国の領土なのですから、”緊張状態”の根本的な原因は、国際法を無視して覇権を追求する中国側にあります。にも拘らず、曖昧な表現とはいえ、中国に対して不要な譲歩的な態度を示しますと、結局は、中国の覇権主義を増長させ、低下させたはずのリスクを逆に高めることになるのではないでしょうか。中国メディアによれば、中国側は、合意内容の遵守を日本国政府に強く求めているそうです。異例とも言える合意文書の公表は、またもや日本国が、既成事実化を得意技とする中国の罠に嵌ったことの現れではないかと不安になるのです。

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陰謀論渦巻く仁川アジア大会日本選手窃盗事件―証言ではなく物的証拠で判断を

2014年11月07日 11時16分05秒 | アジア
冨田 再捜査への頼みは日本の国内世論 担当弁護士「日本に風が吹けば」(デイリースポーツ) - goo ニュース
 昨日、仁川アジア大会でカメラの窃盗で略式起訴された競泳の冨田選手が記者会見を開き、自らの無実を訴えました。この事件、陰謀論が渦巻いているわけですが、韓国警察、冨田選手、並びに、JOCの内、誰かが嘘を吐いていることだけは確かなことです(カメラの所有者も加わるかもしれない…)。

 陰謀論は、凡そ以下の二つに分かれます。第一の陰謀は、仁川アジア大会での不正行為で高まった韓国批判を日本国に逸らすため、あるいは、競泳における日本選手に対する妨害行為として、韓国側が、日本選手を狙って窃盗事件をでっち上げた、というものです。この場合、冨田選手は無実であり、犠牲者でもあります。もう一つの陰謀論は、韓国と冨田選手による”共演”であり、日本選手が”冤罪”を訴えた後で、動かぬ証拠を韓国側が公開することで日本国のイメージ・ダウンを狙う、とするものです。慰安婦問題では日本側は韓国側の主張を否定しておりますが、異議を申し立てた冨田選手の窃盗が確定すれば、慰安婦問題においても類推が働くとする計算です。一方、日本側から陰謀を仕掛けたとする説は見られず、仮に、冨田選手が実際にカメラ、しかも、レンズを外した本体部分だけを盗み、かつ、無実を主張しているとしますと、本人の盗癖、並びに、虚言癖(どちらも確認されていない…)でしか説明することができません(あるいは、韓国側の意向を受けた弁護士の策略?*訂正:冨田選手の弁護士は元外事警察なそうです)。果たして、この事件の真実は、何処にあるのでしょうか。

 今のところ、韓国警察とJOCの見解は凡そ一致しておりますが、証言に著しい食い違いがあるのですから、証言のみで事実認定ができないことは明らかです。実際に再審となれば、冨田選手の窃盗場面が映っているとされる映像、並びに、レンズ部分にも残されているはずの冨田選手の指紋の検出等が、重要な物的証拠となることでしょう(物的証拠なしでは日本国の世論も納得しない…)。当事件が、証言というものが当にならず、物的証拠こそが事実認定にとって重要であるとする認識を韓国側にもたらすならば、たとえ第二の陰謀があったとしても、証言のみに依拠する慰安婦問題においては、逆に韓国にとりまして不利になるのではないかと思うのです。

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日中首脳会談の危険性-予測されるマイナス効果

2014年11月06日 15時34分50秒 | アジア
日中首脳会談 実現は予断許さない状況(NHKニュース&スポーツ) - goo ニュース
 昨日開票されたアメリカの議会下院選挙では、共和党が歴史的な勝利を納め、民主党オバマ政権の行く先には暗雲が垂れ込めております。オバマ政権の求心力低下を察知してか、中国は、日本国に対して日中首脳会談の開催に前向きなシグナルを送ってきているようです。

 ケリー国務長官をはじめ、オバマ政権内部には親中派の政治家が顔を揃えており、近年、頓に顕著となった中国の横暴な行動も、アメリカの対中宥和外交が引き起こしたとも指摘されております。今後、反中派の多い共和党の影響力が増すとすれば、対中政策もまた強硬路線に転換される可能性も高く、中国が、日米両国による締め付けの強化とアジアにおける孤立化を怖れても不思議はありません。そこで、先手を打って、日中首脳会談を実現させることで、まずは対日関係を改善させ、アメリカを牽制しようとしたとも考えられます。しかしながら、現状を見ますと、日中首脳会談の開催は、日本国にとりましては、マイナス効果しかないのではないかと思うのです。第一に、確かに日中関係の改善は、オバマ政権の要望ではありましたが、アメリカの政治が不透明性を増す中で、急速に日中関係を改善させることは、安全保障分野において、方向性を誤る可能性があります(将来的な日米離反や中国包囲網の崩壊?)。第2に、専制国家化を強めている中国に対する迂闊な譲歩は、自らの首を絞めることになりかねません。経済分野であっても、日中関係の強化は、投資や技術の提供を通した中国のさらなる”凶暴化”の手助けともなります。第3に、香港における民主派デモの発生が示唆するように、中国は、周辺国の民主主義体制に対して否定的であり、内部的な破壊工作にも熱心です。今ここで、政府が音頭をとって日中関係を改善させますと、”日中友好”の名の下で、日本国内で”中国化”が進行する可能性があります(現に、NHKにこの傾向が顕著に見られる…)。さらに、現在、小笠原諸島近海では、200隻を越える中国のサンゴ密漁船団が出現しており、日本国政府は対策に苦慮しております。窃盗団を黙認するような国の首脳と儀礼的な会談を開催しながら、何らの要求もなさないとなりますと、国内のみならず国際社会からも、日本国政府は厳しい批判を受ける可能性があります。無法国家をのさばらせた国として…。

 本来、外交の目的の一つは、国家間の対立要因となっている諸問題について解決に向けて話し合うことにあり、首脳会談は、手段の一つに過ぎません。ところが、日中首脳会談を見ておりますと、手段であるべき首脳会談の開催そのものが目的化しているのです(条件付き首脳会談ももっての他…)。中国からの日中首脳会談のお誘いは、抗議の意味をも込めて、日本側から断って然るべきと思うのです。

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尊厳死は死の確実性と激痛を条件に容認しては?

2014年11月05日 15時21分30秒 | 社会
米女性の「尊厳死」非難=バチカン(時事通信) - goo ニュース
 2014年11月1日を、自らの生涯最後の日と決心した米国の女性。末期の脳腫瘍と診断され、余命は半年と宣告されていたそうです。この出来事について、自殺を禁じてきたカトリックの総本山バチカンは、生命と生きる者の使命の否定として、批判的な見解を示したと報じられています。

 生命と言うものが神からの預かりもの、あるいは、神からの使命が託されたものであるならば、自らの意思でそれを断つことは、バチカンが述べるように、確かに批判されるべきことかもしれません。しかしながら、その一方で、如何なる場合でも死を選ぶことを認めないとしますと、それもまた、残酷なのではないかと思うのです。何故、このように考えるに至ったのかと申しますと、古来、残酷刑が多いことで知られる中国には、極刑の一つとして凌遅刑という処刑方法があったことを知ったからです。あまりに残酷であるために、詳しい説明はここでは控えますが、凌遅刑とは、死に至るまで苦痛を与える続ける処刑方法です。ギロチンや絞首刑のような即死させる方法では受刑者に痛みや苦しみを与えないので、この”遅死”の方法が考案されたと言われています。言い換えますと、死に至るまでの間に、できる限り長時間にわたって耐えがたい苦痛を与えることが、この刑の目的なのです。情けのひとかけらもない発想には驚くばかりですが、病気もまた、この刑と同じ状況を患者にもたらすことがあります。尊厳死を選択した女性の余命は半年と診断されていますが、脳腫瘍が悪化しますと、常時、激しい頭痛に襲われるそうです。このことは、半年にわたって、逃れられない痛みと苦痛の中で死を迎えることを意味します。病気もまた、場合によっては残酷刑や拷問と同じ苦しみを患者に課すことがあるのです。

 末期に至るほど痛みが激化する病気は脳腫瘍のみではなく、苦しみの中で生涯を終える患者の方も少なくありません。このように考えますと、不治の病であること、そして、死に至るまでの間、激痛を伴う場合には、例外的に、尊厳死を認めてもよいのではないかと思うのです。死に至る苦しみからの解放が、人道の名においても許されないとは思えないのです。

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慰安婦像の設置より深刻な米教科書-日本国政府は急ぎ訂正要求を

2014年11月04日 15時35分33秒 | アメリカ
米教科書に「強制連行」 ロス公立高使用 慰安婦で虚偽内容(産経新聞) - goo ニュース
 朝日新聞社が虚偽であることを正式に認めた吉田証言。吉田証言とは、戦時中、済州島において日本軍が公式の命令によって朝鮮の女性たちを慰安婦として強制連行したとする作り話なのですが、この残酷物語を凌駕する記述が、アメリカの教科書に記載されているというのです。

 
 慰安婦に関する虚偽の記述を掲載しているのは「トラディッションズ・アンド・エンカウンターズ」という教科書です。報じられるところによりますと、この教科書には、慰安婦20万人強制連行説の採用に留まらず、「戦争終結時に証拠を隠すため、日本兵は多くの慰安婦を殺害した」とする驚愕すべき記述もあるそうです。慰安婦大量殺害説とは、慰安婦が国際問題化した時期に、20万人もの朝鮮人女性が強制連行されたにも拘わらず、被害者として名乗り出た韓国人女性が236人ほどしかいなかったことから、辻褄合わせとして韓国側が言い出した妄説です。国連の『クワラスワミ報告』では、日本人作家の小説に基づくとされる「ミクロネシア慰安婦虐殺事件」が取り上げられてはいるのですが、この史料的裏付けが全くない虚偽報告でさえ、被害者の数は70人とされております。連合国への降伏後にあって、日本軍は、できる限り慰安婦達を故郷に帰すべく尽力したとする記録も残されており、証拠隠滅のための大量殺害などあり得ないことです。仮に、20万人規模の大量虐殺が実行されていたのであれば、遺骨が発見されてもおかしくはありませんし、韓国政府が遺骨収集に動くはずですが、こうした報告は一切ありません。そして、記述の酷さも然ることながら、懸念すべきは、教科書の影響力が、慰安婦像よりも遥かに広範囲、かつ、長期に及ぶことです。慰安婦像の場合には、設置場所を実際に訪れ、碑文等を読まない限り、その影響を受けることはありません。ところが、教科書の場合には、当教科書を使用している学校の全ての生徒が真剣に読み、かつ、長期記憶として一生涯残る可能性があるのです。”残忍で卑怯な日本”というイメージとして…。

 アメリカの歴史科目のテストにおいて、慰安婦に関する正確な内容を問う問題が出され、その回答が”日本軍は、20万人ものアジアの女性達を戦場に強制連行し、敗戦時には、証拠隠滅のための大量殺害を実行した”が正解となる日は、日本国にとりまして悪夢でしかありません。日本国政府は、急ぎ、当該米国の教科書出版会社に対して訂正を求めるべきなのではないでしょうか。

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チンパンジーは何故進化しなかったのか?

2014年11月03日 15時44分36秒 | 社会
人間は元来残忍なのか―祖先のチンパンジーにみる本性(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版) - goo ニュース
 最近、チンパンジーに関する研究が進むにつれ、その残忍性と人間性とのかかわりが議論されるようになりました。集団で仲間を殺害するというチンパンジーの性質は、800万年前に枝分かれした人間とチンパンジーとの共通の祖先から受け継いだものらしいのです。

 チンパンジーと人間とは遺伝子が99%一致しているそうですが、チンパンジーよりはるかに平和的に行動するボノボも一致率は同じですので、即、人間性に絶望することはないかもしれません。両者の性質は人間の行動を説明するかもしれず、人間に最も近い猿の研究は、将来、人間というものをも性質を解き明かす一助となることが期待されています。その際に注目すべきは、”何故、彼らは進化しなかったのか”という”不進化要因”なのではないかと思うのです。人間は、二本足で直立歩行し、チンパンジーやボノボよりも高い知能を獲得し、言語能力を発達させ、遂に、地球上において文化文明を築いた唯一の生物へと進化しました。この事実は、800万年の歩みの中で、高度な生物に進化した人間と然したる進化を示さなかった他の大型類人猿とでは、進化の方向を定める要因に何か決定的な違いがあったことを示唆しています。言い換えますと、チンパンジーがチンパンジーのままである理由にこそ、人類進化の要因、そして、他の大型類人猿とを隔てる”人間性”を突き止める鍵が隠されていることになります。

 もしかしますと、チンパンジーが進化を停滞させた理由とは、その残忍性と独占行動にあるのかもしれません(遺伝子の均質化?)。そしてボノボもまた、何らかの要因が働いてボノボのままであったのでしょう。人間がチンパンジーやボノボへと退化しないためにも、”不進化要因”の探求は、人類にとって重要な課題なのではないかと思うのです。

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