開きはじめの花
蕾
ツマトリソウ、サクラソウ科ツマトリソウ属、褄取草
名前の元になった褄とは、着物の裾の左右両端(腰より下部のへり)を言う
端(つま)が元々の言葉。端から褄に変化。褄取りとは、和服の竪褄(たてのへり)
を手でつまんで持ち上げることをいう。
持ち上げられると、着物の赤い裏地が見える。
ツマトリソウの花にも、同じような縁取りが見られる事がある。
しかし普通はツマトリソウの花は白色で、縁取りのある花は滅多に見つからない。
命名者は、滅多にない縁取りのある花を見て名前をつけたのであろう。
その滅多に見られない縁取りのある花が、池ノ平湿原の登山口に10数株も咲いていた。
スズランとコマクサを撮影に行ったのだが、私はこの花を見つけて、後はどうでも良いと
思うほどだった。
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縁取りのある褄取草を見つけて、真っ先に考えたこと。
それは「高山植物ハンディ図鑑」を書かれた「新井和也」さんの事である。
新井さんは、その中のツマトリソウの説明に、縁取りされたイラストをいれて
「いつかは見てみたい赤く縁取られた花」と書かれていたからだ。
よーし新井さんにメールで教えてあげようとブログを見たら、なんと言うこと
新井さんは2年前の剣岳の登山中に落石にあい、事故死していたのである。
40代の若さで亡くなられるなんて、言葉もない。
「八ヶ岳・霧ヶ峰植物手帳」と「高山植物ハンディ図鑑」の2冊を手に取り
彼の冥福を祈るだけである。