栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

林原の私的整理申請に思うこと。

2011-01-27 23:50:32 | 視点
 26日、岡山市のバイオ企業「林原」が私的整理手法の一種「事業再生ADR」を申請した。
このニュースに接し、正直ビックリした。
林原はバイオ関連企業でその名を知らないところはないほど有名だからだ。
個人的にも以前から注目していた企業で、なんとか一度取材したいと思い、県や企業経営者にそれとなく尋ねていたが、接点が見つけられずに今日まで来た。

 接点が見つけられなかった理由の一つは、林原健社長がほとんど表に顔を出さないことにあった。
岡山県を代表する企業グループでありながら財界活動もほとんどしてないようで、多くの人が同社の内容についても詳しく知らなかった。

 噂話の類もあまり耳にせず、せいぜい耳にしたのは「市内の一等地にあれだけの土地を抱えながら駐車場にしているぐらいだから」というものだ。
その後にくるのは「だから金には困ってないはず」という言葉と、「岡山市の発展のためには駐車場にしか利用しないのは良くない」というものだった。
 それにしてもグループの負債額が1400億円というから、「苦しいらしい」程度の噂話ぐらい耳にしてもいいと思ったが、ただ単に私が疎かっただけかもしれないが、夜の街でも林原のことはほとんど耳に入ってこなかった。

 唯一考えられるとすれば、収益のことをあまり計算に入れず、研究開発や文化的な活動に資金を注ぎ込み過ぎたということなのだろうか。
 しかし、収益優先の企業が多い中で、自由に研究活動を行わせるなど今時珍しいというか、必要な企業だけに、なんとかいい形で再生が進むことを期待したい。