今日は雨降りで、幾分か暑さも抑えられたすごし易い日です。雨は憂うつと言うけれど、時折は降ったほうが良いということでしょうか。
ヴィクターが中学に通っていた頃の理科の先生が、ちょっと変わった趣味の持ち主で、解剖が好きだったんですよ。
なんでも解剖しちゃうんです。ある時なんか近くでサギ(空飛ぶ鳥の鷺です)が車と衝突して死んでしまったことがありました。
その場にいた先生は、そのサギの死体をもらい受けて、解剖標本にしたんですよね。そんな感じで、あれらこれやを解剖するんで、理科室にはかなりの数の解剖標本がありました(一人で理科室にいると、かなり不気味なんですよ)。
なんでも解剖しちゃうんです。ある時なんか近くでサギ(空飛ぶ鳥の鷺です)が車と衝突して死んでしまったことがありました。
その場にいた先生は、そのサギの死体をもらい受けて、解剖標本にしたんですよね。そんな感じで、あれらこれやを解剖するんで、理科室にはかなりの数の解剖標本がありました(一人で理科室にいると、かなり不気味なんですよ)。
そして何でも解剖する、つまり切り刻んでしまうので、"切り裂きジャック"とか、ジャックに因んで、理科の先生ということから、いつも白衣を着ていたことから"悪のブラックジャック"とか、"死神ジャック"とか、密かに呼び称されていたんですよね。
そんなちょっと気色の悪い先生が担当の理科の実験は、当然、理科室で行われるのですが、実験の前準備や後片付けは、持ち回りで生徒たちが行うようになっていました。いわゆる週番というやつです。
そんなある日、理科室の隣にある理科準備室(例の死神ジャック先生の控え室も兼ねている)で、生徒たちが実験の準備をしていると、薬品棚の上に木箱があるのに気づいたんです。
2メートルくらいある薬品棚の上に一つだけポツンと、人目につかないように壁に引っ付けるようにして置いてありました(上の方の薬品を取るために職員室から脚立を借りて、その上に載ったことで初めてその箱に気づいたそうです)。
2メートルくらいある薬品棚の上に一つだけポツンと、人目につかないように壁に引っ付けるようにして置いてありました(上の方の薬品を取るために職員室から脚立を借りて、その上に載ったことで初めてその箱に気づいたそうです)。
木箱の側面は、当然、木板でできていたのですが、四面の内の一面だけがガラス張りになっていました。
そのガラス張りになっている面が棚の壁面に向けられていたので、最初は全部が木板で覆われていると思ったそうです。
――何だろう?―― と不思議に思った生徒は、木箱をぐるりと回転させると、そこには人間の頭蓋骨が入っていました。
つまり骨格標本というものです。しかし、よく見ると標本にしてよくできている。本物みたいで(といっても本物の頭蓋骨をじかに見たことがあるわけではないのですが)、TVで見たとおりです。
しかも、ところどころに土がついていて、妙にリアルなんです。
そのガラス張りになっている面が棚の壁面に向けられていたので、最初は全部が木板で覆われていると思ったそうです。
――何だろう?―― と不思議に思った生徒は、木箱をぐるりと回転させると、そこには人間の頭蓋骨が入っていました。
つまり骨格標本というものです。しかし、よく見ると標本にしてよくできている。本物みたいで(といっても本物の頭蓋骨をじかに見たことがあるわけではないのですが)、TVで見たとおりです。
しかも、ところどころに土がついていて、妙にリアルなんです。
なにせ中学生ですから、話題に飢えている時期ですからねえ、あっという間に話に尾ひれ葉ひれがついて、 ――あの死神ジャックが密かに解剖した人間の頭蓋骨に違いない―― ということになったんです。
しかし、あの頭蓋骨はどういった謂れのものか、まさか、じかに先生に聞くわけにもいかず、謎のままなんですよ…… 。そんな不思議な話でした。