新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

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酒なき人生の惨めさ

2021年10月26日 | 毒男のグルメ
地元スーパーの洋酒コーナーを冷やかして歩いていると、「パンセ」「パスカル」という文字列が目に飛び込んできた。

なぜウイスキーに、パスカルの『パンセ』? バックして、近寄って目を凝らしてみると、たしかにウイスキーラベルに『パンセ』の一節が引用されていた。

 パンセ[パスカル]
 第2章
 神なき人生の惨めさ 
 71
 適量、または多少の酒
 酒を与えないと
 人は真理を見出だせない
 与えすぎても同様
 (訳k229i)

「戸河内」という名の国産ウイスキーだった。私は初めて知ったが、広島にある、100年の歴史を持つ蒸溜所の産らしい。




引用文は、新訳のようだ。手元にある中公文庫版の前田陽一・由木康訳『パンセ』では、同じ箇所がこうなっている。

 あまり多くの、またはあまりに少ない酒。
 ───
 彼に酒をやらないでみたまえ。彼は真理を見いだせなくなる。
 あまり多くても同様。

この訳より戸河内訳(?)のほうが、わかりやすくていいかな? ただし記号のダーシ(ダッシュ。──のこと)を省略してしまったので、「酒」がたんにダブっているように見えてしまうのが残念だ。ロゴが縦組みなのだから、この文章も縦組みで良かったかもしれない。

日本酒を控えて半年以上になる。付き合いで日本酒の会に属していて、コロナ禍で苦境にある蔵元さんを飲んで応援する……はずが、自分では飲まず、蔵元支援で購入したお酒を人にお配りして終わりになっている。最近も限定酒を半ダースほど購入した。お配りした方々には好評だった。みなさんの喜ぶ顔を見ていたら、5ダースほど購入しておけばよかったとつくづく後悔した。

戸河内はよい酒だ。日本酒を飲まなくなって、最近ご無沙汰のお猪口を取り出してきて、生で行った。コロナ禍の煽りで、この愛用のお猪口を買った民藝品店が休店したままなのが、いまの気がかりである。


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