日本の山シリーズは再び西日本の山。今回は九州南端にある開聞岳(かいもんだけ)を取り上げたい。標高924mだから、深田久弥選日本百名山の中では2番目に低い。(一番低いのは筑波山の877m。)「百名山」という以上、最低でも1000メートルは欲しいところだけど、開聞岳に限っては例外にするしかない。海から直立したような山で、形状もほぼ完全な円錐形。よく「富士山型」の山というけど、富士山よりも富士山的な美しい外観を誇る山である。
そういう独特な山だから、JRの開聞駅から歩いて登るとすると、標高差887mを登ることになる。車だと「かいもん山麓ふれあい公園」まで入れて、2合目に駐車場がある。そこから登っても標高差は優に700m以上になる。前回書いた西日本最高峰の石鎚山は、標高1982mあるが、1500mの国民宿舎から登ったので標高差は500mほどだ。標高の低い開聞岳の方がずっと大変だ。しかも登山ルートが独特。円錐形の山をループ状にぐるっと登ってゆく。だから見える風景ががどんどん変わってゆく。
(山頂からの展望)
20世紀の終り頃、夏休みに車をフェリーに載せて九州に出かけた。その時はあまりに暑いのでゲンナリした記憶がある。標高の低い開聞岳は夏には向かない。登ったのはその時ではなく次の春休みである。日本史教員が鹿児島に行ってないのはなあと思って、また行ったのである。その機会に開聞岳に登ろうと思って、「国民宿舎かいもん荘」に泊った。川尻温泉が湧き、露天風呂から開聞岳が望める宿として有名だった。(残念ながら今は閉館してしまった。温泉自体は「レジャーセンターかいもん」で入れる。)その温泉は、鉄分が多く褐色の湯だったが、風呂から上がるとタオルが真っ茶色、お尻にも茶色の成分がこびりついていたので驚いた。
(開聞岳テレカ)
翌日は車で2合目の駐車場まで行って、そこから登り始める。最初は直登みたいな感じだが、次第に登山道がループ状に回り込んでいき、東シナ海の展望が素晴らしくなる。時間的には約3時間ほどで登頂できるが、周囲の風景を楽しんでいるうちに登り切ってしまった感じだった。そういう形状の山だから、登山道は一本だけ。登った道を下りてゆくが、時間的には半分ぐらい。登って山頂でお昼を食べ、ゆったり下りてくる。山麓にハーブガーデンがあって、そこでハーブティーを飲んだ。気持ちよく晴れて、とても気持ちのいい登山だった。日本でも一番楽しい登山が出来る山じゃないか。
(海越しに見る開聞岳)
その時は鹿児島市で維新の史跡も見たが、それ以上に指宿温泉に連泊した思い出が残っている。「指宿」(いぶすきは日本屈指の難読地名だろう。作家の山本一力が若い頃にJTBに勤めていて、客から「いぶすき」を取ってくれと言われて、探したけれど判らず「そこは扱ってませんね」と答えた失敗談を最近読んだ。僕も「ゆびじゅく」温泉と読んだ人を知ってる。)ここは「砂蒸し温泉」が有名で、素晴らしい温泉だ。いろんな宿があるが「指宿いわさきホテル」に泊って、併設の美術館を楽しんだ。指宿が気に入って、白水館という大旅館にも別の機会に泊ったなと思い出した。
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