当時の国民車構想から生まれた、軽自動車の傑作です。
スバル360。
かつては街中を走り回っていました。
それはあたかも高度経済成長を担う、コマネズミのように働き通したお父さん達の姿に重なります。
そして頑張ればこの車が買える時代が到来したのです。
わずかに排気量360cc。
今から思えばオモチャのようなこのくるまが、マイカー時代の幕開けを告げたのです。
乗ればフロントガラスが額に付きそうでも、汗をかきかきでも、坂道が登れなくても、ドライバーの目は輝いていたような気がします。
夢と希望が、経済成長に担保されていたのでしょう。
しかしもっと大切な事、思いやりとモラルが存在する時代でした。
「わしや、わしや」
草むらで朽ち果てた老体をさらしながら、この非力な名車は
「幸せってなあー」
と、語りかけているようです。