ぼくが好きな映画監督ガス・ヴァン・サントさんが監督・脚本された
映画「マイプライベートアイダホ」。
この映画に、リバー・フェニックスとキアヌ・リーヴスという
名俳優二人が出演しており、映画の内容が同性愛について触れていたりして、
そちらの部分に注目が集まり、なかなか正当な評価をされていない気がします。
物語は主人公のリバー・フェニックス演じるマイクが
ナルコレプシー(発作的睡眠障害)である事に触れる所から始まります。
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この映画は3つのパートに分ける事が出来ます。
1、オープニング(約5分)
2、本編(約90分)
3、エンディング(約5分)
そして最も大事なのは、1、のオープニングです。
ぼくが観た全ての映画の中で、一番良かったオープニングです。
オープニングで、主人公マイクは果てしなく続く道の真ん中に一人で立っています。
そして、ナルコレプシーの症状によって、突然深い眠りにつきます。
そして、夢の世界に行き、母親のひざに頭を置いて寝ています。
母親は息子マイクにこう言葉をかけてあげます。
「大丈夫。
何にも心配いらないわ。
すべてうまくいくから。
分かってるわ。もう大丈夫。
すまないなんて思わなくていいのよ。
分かってるわ。」
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主人公のマイクは、ナルコレプシーであり、孤児であり、
買春によって生計をたて、ドラッグを吸って気持ちを落ち着けます。
実の兄と母親との子供が主人公自身であったのです。
そして、どこにもいない母親を世界中探してまわります。
現代社会の闇が生み落としたような、悲劇の青年マイク。
刹那的に一日を過ごし、鬱々としながらも、
こころの中にはいつも母親の存在がありました。
オープニングのシーンのように
頭の中の理想の母親は、マイクにやさしい言葉をかけてくれます。
マイクのこころの支えは、現実社会には存在していませんでしたので、
存在していない理想の母親をずっと求め続けます。
ジョン・レノンや、フレディ・マーキュリーなども同様に
こころの中で母親を求め、ジョンレノンは「マザー」という曲で、
フレディは「ボヘミアンラプソディー」で母親に対する思いを歌っています。
世知辛いこの世の中において、
悲しみや苦しみがあふれ、何が正しいのか分からない世界において、
本能的に、希望の光のような「家族愛」を求めるのです。
この映画では、主人公の可哀想なシーンがたくさん描かれていますが、
だからこそ、家族愛、母親の愛が相対的にとても大事なものに映ります。
映画の最後は、この言葉で締めくくられます。
「Have a nice day」
「良い一日を」
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