春の
穏やかな
やわらかい風にふかれて
桜は嬉しそうに揺れて
花びらがひらひらと静かに散っていく
公園のベンチに座って
子どもたちの遊ぶ声や
お年寄りが桜を眺めている顔が
あたたかい日を浴びている様子を見た時
ただただ平和で幸福な風景が目に映り
ニュースで流れる悪い事件や
生老病死の苦も
少しの間、頭から遠ざかって
この短い春が現実なのか
それとも長く感じた冬が現実なのか
はっきりしない
桜を見てふと思った
こんなに綺麗であれば一年中咲いていればいいのに、と
何故、桜はすぐに散ってしまうのか
何故、幸せはすぐに思い出に変わってしまうのか
春の風がぼくのこころに向かって吹いてきて
何とも言えないやさしい気持ちが伝わってきた
空っぽな、諸行無常なぼくの足に
一匹のアリが登ってきた
桜の花びらが一枚、ぼくの服にふんわり留まった
こういう一日を美しい一日と言うのだろう
桜の花びらが風に吹かれて散っていく様子を見て
人の一生を感じた
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