この世界にはあらゆる人種の人が住んでいて、
あらゆる考えを持ち、十人十色の個性を持ち、
それぞれ違った人生を歩んでいます。
性的マイノリティの人や、障害や、人と違う感性を持っている人、
宗教に入っている人など色々な人がいます。
それが人間の多様性です。
自然界でも、花や動物などが多種多様なのを見ても分かります。
しかし、人間は周りの人間を見て、
自分が周りと違う考えや容姿をしている事を気にします。
ひどい時は、いじめの対象になったり、差別をされたり、
社会から取り残されてしまうからでもあります。
アイデンティティとは、他と相対的に比べずに、
「自分は自分」という意識を持つ事です。
以前、美輪明宏さんは同性愛者である事を、
マスメディアでカミングアウトしました。
当時は同性愛は悪とされていて、
理解されていなかったので、周囲から猛反対にあうも、
美輪さんは毅然とこう語っています。
「わたしは人を殺したわけでもないし、
ものを盗んだわけでもありません。
人と人は変わっているのが自然なのだから隠す必要はない」
「フランケンシュタイン」は有名なSF小説ですが、
これを書いたのが、当時18歳の少女メアリー・シェリーでした。
フランケンシュタイン博士は、生命を生み出そうとして、
死体を集め、継ぎ合わせ、醜い怪物を生み出します。
しかし、その醜さに博士自身は恐怖を覚え、
怪物を捨ててどこかへ行ってしまいます。
この怪物は、2m以上の大型の男ですが、
頭が良く、言葉を覚えながら、人間と仲良くなりたいと思います。
やさしいこころを持っていたのです。
しかし、人に親切にしても、
そのあまりの醜さに、人間達は化け物扱いして、
逃げてしまいます。
自分の生みの親である、フランケンシュタイン博士さえ、
自分の事を捨てました。
人と仲良くなりたくても、親切にしても、
自分が世界でたった一人の醜い怪物である為、誰も友達になってくれません。
「フランケンシュタイン」に出てくる怪物は、
アイデンティティの中の最たるものの一つと言えるでしょう。
今の世の中でも、自分で産んだ子供を捨てたり、
虐待したり、可愛がらない親が何人もいます。
いくら優しいこころを持っていたとしても、
性的マイノリティや障がい者や、変わり者は見た目や偏見で軽蔑されたり、
顰蹙をかったりして、なかなか理解されません。
しかし、初めに書いた通り、命あるものは全て、
千差万別の個性を持っているものなのです。
なので、他者を理解してあげる。否定しない。
色々な考えの人と一緒に、共存していく事が、
平和で公平な社会を作る、とても重要な事だと思います。
誰にも理解されない、孤独な、こころやさしい怪物の事を、
やなせさんはずっと心に残っていたそうで、
アンパンマンは「フランケンシュタイン」の影響があるとおっしゃっていました。
やさしさは目には見えません。
人は見た目ではありません。そう信じています。
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