やなせさんの詩の紹介です。
この詩はやなせさん自身を投影しているかのような内容で、
69歳でアンパンマンのアニメがヒットするまで
苦労されたやなせさんの思いがあるような気がします。
最後の言葉がだんだん少なくなっていって、
~なのさ、という感じはどことなく太宰治のような感じを受けました。
味わい深い詩で、とても好きな詩です。
【老眼のおたまじゃくし】
山のうえの古い池に
おじいさんのおたまじゃくしが
住んでいた
もうとてもとしをとっていて
ひどい老眼になっていた
なにもかもみんなぼやけて見えた
さざ波もすいれんも散る花も
なにもかも
山のうえの古い池の
おじいさんのおたまじゃくしの
ひとりごと
ずいぶんながく生きてきた
ひどい老眼になったけど
おでこにしわがよってきたけど
いつまでもかえるにはなれないで
このままさ
山のうえの古い池に
おじいさんのおたまじゃくしが
住んでいる
子どもの心そのままで
ひどい老眼なんだけど
かえるになれないおたまじゃくしは
ふなの子や水すましなにもかも
なかよしさ
かえるに
なれない
おたまじゃくしは
それでも
しあわせだったのさ
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