梅雨入りした田んぼには稲の穂が伸び、その周囲には小さな浮草が浮いていた。 浮草は風に吹き寄せられたのか、岸の一方に集まっている。 びっしりと集まった浮草だが、ところどころにスキマがあり、それがつながって模様を描いている。 田んぼにはカエルの声が、一面に広がっているが、姿は見えない。 どこかにいないものかと、あぜ道を歩いてみた。 ぴょんと跳ねてくれると見つけやすいが、じっとしているのは見つけにくい。 周りに浮草の少ないところで、ようやく1匹を見つけた。 稲の根元で、体の上部だけを水面から出してじっとしている。 からだの色や模様と、稲のみどり、水のにごりがうまく溶け合っていた。