緊急事態宣言は解除された5月下旬のことですが、授業再開まではひっそりと静まり返っていた第四錦林小学校近くの花壇で、目も覚めるような鮮やかな赤色のアマリリスの花がひっそりと咲いていました。
アマリリスは現在、ヒガンバナ科ヒッペアストルム属に分類される多年草で、分類上はアマリリスではありません。従前に分類されていたのが同科のアマリリス属であることから今でも「アマリリス」と呼ばれているのですが、現在のアマリリス属に分類される「本来のアマリリス」はベラドンナリリーとも呼ばれるホンアマリリスとパラディシコラ種の2種のみです。ホンアマリリス(本アマリリス)という和名もこのアマリリスに対して「本当のアマリリス」ということで呼ばれているようです。
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このアマリリスという名前ですが、これはローマのラテン語詩人であるウェルギリウスの『牧歌』に登場する「アマリリス」という名前の女羊飼いに由来します。
ちなみに、ウェルギリウスは、この「牧歌」の他に「農耕詩」と「アエネーイス」で知られますが、一番有名で代表作はというと「アエネーイス」になるでしょうか。
さて、閑話休題。由来となった作品中の逸話はというと……
アマリリスは同じ羊飼いのアルテオという美男の少年に思いを寄せますが、この少年が興味のあるのは花だけで「美しい花を持ってきた女の子とだけお付き合いする」と言い、いつもきれいな花を持ってくる別の少女と仲良くしています。
そこで、アルテオを振り向かせたいアマリリスはデルポイの神殿に向かい、一心に神様にお願いしたところ神託があり、神殿で手に入れた一本の矢を持ち帰ります。
そして、アルテオを振り向かせるためその矢で自らの胸を傷つけ、流れ出た血が地面に滴ります。これを毎日続けたところ30日目にその流れ出た血が滴った地面から美しい花が咲き、この花でアルテオの心を射止めます。このことから、咲いた花をアマリリスと呼ぶようになったと伝えられています。
この花の色は、まさしく血の色とも言えそうでしょうか。
アマリリスにはギリシャ語で「輝かしい」という意味があることから「輝くばかりの美しさ」という花言葉がありますが、この逸話に基づいたものだと「すばらしく美しい」だけでなく、アマリリスの行為から「誇り」と「強い虚栄心」もあるようです。またアマリリスは話好きだったらしく「おしゃべり」という花言葉もあります。
この名前の由来の話を『男を振り向かせるため、自分にとって都合のよい教えや考え方にすがり、自傷行為までして実力行使に及んだ』と現代風に焼き直したら、何だかゴシップ記事にでもなりそうな痴話事件とも言えそうですね。しかも「花」を「お金」に置き換えたら、余計にドロドロした話になるでしょうか。
いつもありがとうございます。
札幌は快晴の水無月明けです。
今月もどうぞ宜しくお願い致します。
京都は、昨日は朝から「そろそろ梅雨入りかな?」と思わせるような雨降りのお天気でしたが、今日は打って変わってお洗濯日和の晴天です。
今月もどうぞよろしくお願い申し上げます。^o^