当ブログの管理人は一応(もちろん?)当倶楽部の理事ですが、その御縁で個人的にお声掛けいただいた東山いきいき市民活動センター(東山いきセン)のプロジェクトに参画していることもあり、最近は事務室よりも東山いきセンに出向いていることのほうが多いような気もしています。
そんなこともあって、東山いきセンに立ち寄った先日のことですが、センターの利用者さんが自宅で育てているシークヮーサーの実やゲットウ(月桃)の葉を「たくさんできたから取りにおいで」と言って、職員さんが取りに伺ってたくさん頂いたそうで、御相伴に与り、私もシークヮーサーの実のお裾分けをいただきました。
で、そのときに職員さんから「黒い点々がついているけど、これ何?」と聞かれたのです。確かに実や葉に黒い点々がついています。
持ち帰ってから早速ルーペで覗き込むと、何だか虫のようです。ひょっとしてカイガラムシの仲間かもしれないなと思いながら、とりあえずインターネットで調べていると「ごまミカン」というのが出てきて、思わず「これだ!」と思いました。
その記事によると、枝葉だけでなく果実にもついて「ごまミカン」と呼ばれる原因は柑橘類につくヤノネカイガラムシ(矢の根貝殻虫)が原因なのだそうです。ちょっとマクロレンズで近寄れるだけ近寄って撮影したのがこちら。
なんだか小さな干し葡萄を押し付けたようにも見えます。ヤノネカイガラムシは中国からの侵入害虫のようで、明治時代に日本にやってきて本州、四国、九州のカンキツ栽培地に広がったようです。ヤノネ(矢の根)とは、殻のかたちが鏃(矢尻)に似ていることが由来のようです
ひどいと枯死するほどの被害をもたらすようですが、昭和55(1980)年に中国から天敵の寄生蜂であるヤノネキイロコバチとヤノネツヤコバチの2種を導入したことで、以降は低密度に抑制できているそうです。
ただ、何度かルーペで覗き込んではインターネット上で公開されているヤノネカイガラムシの画像と見比べるていると、なんとなく鏃というかたちとは違うぞという気がしてきたので、もう一度調べなおしてみたらヒメクロカイガラムシ(姫黒貝殻虫)という柑橘類に寄生するカイガラムシもいるようで、ひょっとしたらヒメクロカイガラムシかもしれません。
いずれのカイガラムシであるにしろ、ヤノネカイガラムシの天敵を活用した方法以外の基本的な防除方法は、他のカイガラムシと同様になるかと思います。カイガラムシの場合、カイガラムシによる直接的な被害よりも、カイガラムシが排泄する糞を餌とする病原菌による「すす病」や「炭疽病」の発生による間接的な被害のほうが多いかと思います。
でも、種類によってはこのカイガラムシも利用することがあるのですが、たとえば、イボタノキ(水蝋樹)から採れるイボタロウ(水蝋)はイボタロウムシと呼ばれるカイガラムシが分泌するワックス成分で、東南アジアに生息するラックカイガラムシからは着色料等に利用されているラック色素が採れるので、このカイガラムシも何か利用価値があればよいのですが、カンキツ農家泣かせの困ったちゃんであるだけのようですね。