ここ北山杉の里も北風から南風に変わり、
山間の杉林も茶褐色の梢が緑色に変化しつつあります。
国道沿いの冬枯れした風景は一変し、連翹(レンギョウ)の黄色い花が春を彩っています。
冬場、北風が吹いていた時は北山丸太を外に干す風景も見れたのですが、
この時期、南風の乾いた空気になると丸太の木肌が干割れする恐れがあるので室内に取り込みます。
春の訪れは、風を感じ、風と向き合う、ここ北山杉の里ではそんな敏感な季節でもあります。
そんな季節の変化に対応する作業は丸太の乾燥風景だけではありません。
先日、事務所周辺の杉林で人造絞り丸太を作るため「絞(しぼ)巻き作業」をされる生産者の方に出会いました。
春以降夏に向けて幹も成長するため、春を向かえる手前からこの絞巻き作業が行われます。
北山杉の幹が真っ直ぐ伸びているところを10尺(約3m)の柱分の寸法を測り、
よい人造絞り丸太を造る見極めがこの段階から始まるのです。
私にはどれも真っ直ぐ伸びた幹にしか見えないのですが、
熟練した目は些細な曲りも見逃しません。
まず梯子を掛けて登り、絞巻きをする北山杉の荒皮を剥ぐ。
そして模様となる箸状の材料と針金を準備します。
針金は1本巻ける分を予めパイプに巻き取っておきます。
どんな熟練した職人さんでも一日6~7本しか巻けない絞巻き
どれだけ熟練した目で選別しても、よい人造絞り丸太になる確率が悪くなっているとも嘆いても折られました。
台風に雪害と心配ごとが増える中、この絞巻きの針金が外されるのは2~3年後。
あとは自然と向き合い、自然に任せる。
ここ北山杉の里では丸太を出荷する時、「嫁に出す」と例えられます。
厳しい目がその日を迎え、温和な目になる日までまだまだ職人さんの作業は続きます。
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