峡中禅窟

犀角洞の徒然
哲学、宗教、芸術...

新発見の仏陀の遺骨...

2016-08-29 02:13:30 | 宗教

新発見の仏陀の遺骨...

銀の宝箱に収められた、仏陀のものかもしれない頭蓋骨が、中国、南京で発見された...(『アルケオロジー・マガジン』)

これはとても興味深いですね...

頭蓋骨を含む釈尊の骨が、大報恩寺(南京)の遺跡の地下礼拝所から発見された...(『アルケオロジー』)

こちらも...

仏陀の頭骨を収めているかもしれない古代の石櫃が地下から発見された...(『ライヴ・サイエンス』)


南京の大報恩寺は観光地としても知られていますが、ここの地下から石櫃が見つかり、その石櫃には鉄の箱が納められ、その中から仏舎利塔(スツーパ)がでてきたといます。
この仏舎利塔は高さ117センチ、幅が45センチ、金銀を鏤めた白檀製で、水晶、瑪瑙、硝子、ラピスラズリといった貴石で装飾されているといいますから、かなり華やかなものです。そしてこの仏舎利塔のさらにその中に銀製の宝箱が入っており、人骨と、頭蓋骨を納めた黄金製の宝箱が納められていたといいます。
石櫃には碑文が刻まれており、それによると、この石櫃は北宋の第3代皇帝真宗(しんそう:在位:997 - 1022 )の時代に作られたもので、入滅後の釈尊の亡骸がアショカ王の時代に84000のパーツに分けられて各地に納められ、そのうち19のパーツが中国に渡った。それがこうして納められるに至った経緯が記されているというのです。...
さてさて...
一方では、仏舎利と言われるものを世界中で集めると、その総重量は2トンほどになる...そんなことも言われたりします。
それにはもちろん、ちゃんとした理由があり、釈尊の入滅語の亡骸の処理が関わっていて、普通に考えるならば釈尊の亡骸は遺されてはいない、という結論に至ります。
しかし、真相は誰にもわからないのです...
この遺跡にまつわる物語は、現代に生きる私たちにとっても遙か悠久の昔に思いを寄せるきっかけになりますし、特に仏教を奉ずるものにとっては思いひとしおです。
そしてそれ以上に、この聖遺物の物理的な真贋はともかく、こうした形で大切に運ばれ、見事な装飾をこらされ、厳重に隠されて守られ続ける...その思いの凄さに心打たれます。それは、釈尊その人...苦しみに満ちたこの地上の生、現実世界での人生の中に、平安と癒やし、魂の救いを見いだした偉大な思想家にして宗教家、目覚めたる者...聖なる存在であるブッダ・シャキャムニに対する熱烈な思いが形となったものであり、いま再び、大報恩寺の地下に納められて後、千年以上の時を経て現実世界に出現したのです...
私たちが生きるこの現実を尺度にした上での事実や真実...そうしたものももちろん大切なのですが、それとは違う価値観に生き、信念に生きた人たちの思いは、現実の荒波、時間の猛威を乗り越えて、何百年、何千年もの時を経てなお、こうして形を取って私たちに大切なことを語りかけているのです。至誠をもって、至心から発する願い、祈りは、すべてを超えて同じ願いを持ち、祈る心に共鳴し、共振し、心震える経験を生み出すのです。