私たちは、何か勘違いしている。
有名な人が、たまたま目の前にいたら、そういう人は自分に何かアクションしてくれるものだと思い込んでいるし、何もしてくれないと、「何だよ、アイツ」と逆切れするようです。
有名人でも、出会う人すべてにニコニコするわけにはいかず、たいていはテレビカメラや、一般人のスマホ攻撃があるのだから、もう気を抜けなくて、はやくその場を逃げ出すか、不機嫌な顔をするか、スタッフに蹴散らしてもらうかするでしょう。
見境のない一般人ほどやっかいなものはない。
有名人といえども、人間なので、お仕事をしていたり、プライベートだったりするのに、それをむやみやたらにサインくださいとか、写真を勝手に撮ったりとか、呼び捨てにしてその人の人の名前を連呼したり、もう人間としての扱いではなくて、ただの興味本位・話題にするためだけに何か関わろうとする。
そういうのはぜひやめてもらいたいし、絶対にそういう一般人は懲らしめられなければならない。
「何だよ、こっちがお願いしているのに、あの態度はないよな」とか、SNSで悪口でも書くのでしょうね、こういう人たちは(自分の態度は問題にしないくせに、とても失礼なことをしているのに、……そもそも人と人との距離の取り方がメチャクチャなんです)。
もうそんなのはうんざりです。アホーのたわごとの相手はしていられない。そんなヤツらはテレビやスマホに話しかけたらいいのです。現実の人間は、知らない人から声をかけられても、無視するのは当たり前なのです。相手をしていたら、自分の時間を盗られてしまう。
そんなバカらしいことはできない。なれなれしい一般人なんて、絶対に相手にしてはいけない。
何を力説しているのかというと、奈良市の北町あたりのネコのことです。
私は岩合さん気取りで、ネコの写真を撮ろうと、追いかけたのです。このネコは有名人ではないと思うのだけれど、とりあえず、かわいらしかったら、ネット世界ではだれかの心にヒットするかもしれないと、……それは功名心ですね……
私は追いかけた。もちろん、ネコは逃げて、変なヤツが追いかけてきたぞ、バカな人間だ。なんだ、このチッチャイ男は、もう少し近づいてきたら、走って逃げちゃおう!
彼が、そう思っているみたいだから、私は追うのは諦めました。私が岩合さんになれるわけはないし、私はたまたまそこに来ただけのオッサンであって、入念な取材の上で撮りにきたわけではなかった。
そんなヤツに、おもしろい写真が撮れるわけがありません。当たり前のことでした。
なあんだ、おもしろくもなんともない!