甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

吉野神宮へ その3

2022年05月26日 21時34分47秒 | 聖地を巡礼しよう!

 この2番目の鳥居は、すでに重要文化財だったそうです(2010)。そして、この5月の20日の新聞で見たのですが、吉野神宮全体も重要文化財に指定されることになった、ということでした。

 三重県の鳥羽の方の、菅島という灯台も、近代の建造物としては文化財に指定されたというし、吉野神宮もいよいよそうした歴史的な建物の仲間入りをした、ということもあって、前々から行ってみたいと思っていた吉野神宮に来ていました。

 久しぶりに近鉄に乗る、というのも旅の目的であったし、吉野神宮に正式にお参りする、というのも大きな目的でした。その後は、どこに行くのか、そういうことはもちろん決まっていませんでした。

 山の上にあるお社を右側から巡るようにして参道は続いています。あとで考えてみれば、左側からお山を巡る舗装路は、山頂の駐車場に続いていたようで、タクシーだったら、そちらまで上がり、お客さんはすぐにお参りできる仕組みになっていました。

 1895・M25年に、明治天皇のご意向を踏まえて、吉野の近くの山を切り開いて、吉野の御所になっていた吉水神社とか、その辺りから後醍醐天皇さまの像などを持ち込んで、吉野神宮はスタートしたそうです。

 何度か拡張されたり、道も付けられたり、限られた予算の中で、後醍醐天皇をしのぶ建物は作られていきました。

 そもそも私はどうしてここにお参りに来たのか?

 それは、南朝関係の十五社というのがグループ化されていて、その頂点に吉野神宮があるようでした。

 古くからあるお社ではないし、人々が境内で遊び戯れるところでもないようです。官幣大社という格式のある、おそれ多いお社のようです。

 お社って、自然崇拝か、恨みを持つ方々(菅原道真さんとか、柿本人麻呂さんとか、崇徳院、新田義貞さんとか)や、顕彰するべき人物(乃木希典さん、徳川家康さん、豊臣秀吉さん)をお祀りしたり、天皇様や神話の人々のためのお社(明治神宮、吉野神宮その他)などがありました。

 人々がおまつりしなくちゃ、たたりのないように祈らなきゃとできたお社は、ずっと永続性があるし、一定の支持は続いていくでしょう。

 でも、国家がある意図をもって作り上げたお社というのは、どれだけの信仰を集めるのか、私にはわかりません。

 人間は、いつまでも特に深い意味はなくても、みんなが祈るのなら私たちも祈ろうということになるのかもしれません。みんなが祈る、それだけでいいんですね。いわれや効験は必要ないのか……。



 やっと三番目の鳥居のところまで来ました。その向こうが神域だろうし、重要文化財に登録されるような建物だったのかもしれません。

 明治の建築物ではあるので、国家的な匂いがすこしだけするのかな。

 でも、お祈りしようと思ったのだから、素直にお参りしました。もうこれから二度と来られないかもしれないし、折角の機会であれば、その機会をありがたく感じて、私はここにいますと、お伝えするしかありませんでした。



 後醍醐天皇さまのお宮さんですけど、天皇様の魂があるのか、それはわかりません。

 でも、この山の奥の方に、リベンジを誓う天皇様がおられた、という歴史は残っています。この山がどれだけ天皇様につながるのか、少しあやふやではあるけれど、数百年前にこの空気を吸いつつ、あれこれ考えておられたのは確かなのです。

 でも、この切り開かれたお社には、天皇様の気配はあまり感じられなかった。巨木もなくて、ただ風と光だけでした。


 いくつか、建物があったのが取り払われたり、更地になったり、いくつかの変遷があったようです。この参道脇の平面には、建物の礎石あとみたいなのがありました。北側に面していて、木が茂っていなかったら、北の展望が開けたのかもしれません。展望閣みたいなのがあったんだろうか。

 そして、四番目の鳥居。これは参道ルートから外れて、京都に向かう鳥居でした。まるで天皇様の気持ちがずっと北の方角に向かって行くような、その魂の出口みたいな鳥居がありました。

 空には飛行機雲が二筋、紀伊半島を貫いて四国・徳島方面に向かって行ったようです。後醍醐天皇の気持ちを知ってか知らでか、交わる平行線はやがて空に同化していきました。


 吉野の金峯山寺はもう諦めました。ここから家への道を少しずつ戻ることにしました。ゴハンはまだ食べてないけど、どこかで食べられるでしょう。

 駅のコンビニでハムと野菜のサンドイッチと梅干味のオニギリ一つ、これがこの日のお昼ご飯でした。どこで食べたらいいんだろう。吉野神宮にそんなのん気な場所はありませんでした。

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