今朝、月曜日なのにダラダラ過ごしていました。昨日、読書しましたからね、少し遅くなった。それで、朝、テレビを少し見てしまいました。
本当は、テレビなんか見てないで、どこかに飛び出すつもりだったのに、どこにも行かないなんて、私は何をしてるんでしょう。
番組はNHKのBSで、57歳のディレクターがアドベンチャーツアーに出た、という企画の第3回目らしくて、パタゴニアでトレッキングに挑戦するということでした。
お仕事もそれなりにしている人だと思われますが、あまり鍛えているようには見えなかった。彼がわざと軟弱風に演技したのであれば、それはすごいんだけど、たぶん、こういう時にだけ厳しい取材をしてみたという、体を鍛えていないディレクターという気がしました。
そして、去年なのか、一昨年なのか、とにかく現地まで行き、ツアーに参加したらしい。私は、3日目までは見たんだけど、4日目からは見るのを諦めました。少し長かったみたいです。
それと、どうして私がパタゴニアを見ているのか? 興味があるのか? トレッキングがしたいわけではないと思うんだけど……。あれこれ考えながら、どこかで既視感があるぞと思ってたんです。
いつのこと? パタゴニアで検索すると、山岳系の衣料ブランドがたくさん出てきて、私には縁のない、専門メーカーなんだよなと思うだけでした。でも、ずいぶん昔から私はパタゴニアを知っていた。
古くは、奥さんがファンだった椎名誠さんが探検したことでも知られていました。もっと昔は? 今見てた番組の中で、昔日本の山岳隊がキャンプを張ったところだと紹介された林が出てきたのです。
それで、思い出したんです! 私の既視感は、すでに1976年にあったのではないかと気づいた。もう44年前の話です。
その時に何かあったんだろう。
1976年の7月に「パタゴニア探検記」(高木正孝著 岩波新書 1968)というのを買って読んだんでした。高校二年生になるのかな? 勉強しないで、探検の本を読んでたんですね。すごいですね。
夏休みだから、探検記みたいなのを読みたいと思ったんだろうか。
本棚から取り出してみたら、1962年に著者の高木さんは南太平洋で行方不明となったと書いてあるけれど、今初めて知ったような感じ。たぶん、忘れてたんですね。
探検隊の旅そのものは1957年に行われたみたいで、私がこの本を読んだ時からすると、もう20年ほど昔の旅だったようです。
とにかく、はるか昔に、どういうきっかけだったのか、岩波新書に手を出して、230円で買った。それは著者たちの二十数年前の探検のことであり、そのおかげで、全く無縁の土地のパタゴニアの探検を追体験させてもらった。私はいっぱしのパタゴニア通になった気分だったので、どんなに世の中で話題にされても、誰が出かけたとしても、もうわざわざ見せてもらう必要はなくなっていたんでした。
それが、44年のブランクを経て、たまたま年末でボンヤリしていた私に、「おまえ、パタゴニア忘れてるだろう。おまえと年齢の変わらないオッサンがヘトヘトになりながら歩くから見てろ」と言われてるような気分で、延々と見てしまった。そして、思い出した。
そうだったのか。私は44年前に知ってた土地を、今さらながら、テレビ画面を通して確認させられているんだ。そして、番組の中で紹介されてた日本の登山隊は、たぶん、高木さんたちの探検隊だったのだ、というのを知ったわけでした。
こんなことを最近何度も繰り返しています。
パタゴニアは、少しだけ私たちに近しい存在になり、山岳系のブランドにもなってしまった。
そして、ずっと私は忘れていた。それにしても、どうしてこんな本を買ったんでしょう。パタゴニアに興味は全くなかったし、探検がスキというわけでもなかったはずなんだけど、もう少し思い出さないといけないですね。