超できた新妻

その男性はかつて妻名義の家族カードを発行していた。離婚してしばらくしたある日、その家族カードでいきなり限度額一杯の融資が利用された。本人は請求書をみて利用の覚えがないとびっくりして電話してきたが、家族カードの利用のため、本人に支払い義務があることを説明してしぶしぶ了解した。

もちろん元妻に連絡しようとしたが、携帯電話は不通だったらしい。また、法律相談にも出向いたが、支払い義務は本人にあると言われたとしょげていた。

彼は１年ほどはキチンと支払っていたが、そのうち遅れるようになった。督促の電話をするたびに、自分の利用ではないことを訴え、支払いたくないと言い出した。しかし、こちらは請求を止めることはできない。

もうすぐブラックリストにのってしまうよという頃に、残高をまとめて支払うと連絡があった。そして、店頭で支払いたいと、当社にやってきた。彼は女性同伴で、彼女を婚約者だと紹介した。近々再婚するにあたり、借金をなくしておきたいこと、お金の一部は彼女が用意したと話していった。

終始笑顔だった二人が帰ったあと、なんというできた新妻かと社内で話題になった。ウン十万円の借金付きの中年おやじと結婚しようとするだけでも奇特だ。でも、ひょっとしたら、本当に元妻の借金を返すためのお金だったのかと、新妻が怪しんでついてきたのかも・・・なんて、いぢわるなことを考えたのは私だけだったかなぁ(笑)

～補足～分かりやすいように”ブラックリスト”という表現を使っていますが、実際にはそんなリストは存在しません。