いつもの、帰り道に
夕方とはいえ、この暑さのせいか、年齢のせいか
ふらふらと買い物した荷物をいっぱい
引きずる様に持って歩く
おばあちゃんに逢った
あ、
と思った瞬間に、おばあちゃんの力は抜け
買い物した荷物は道に散らばり
道路を横切ろうとしていた
おばあちゃんは呆然として
自分の力では、どうにも出来なくなっていた
咄嗟に、散らばったものを
すぐ拾って、全部持って、
おばあちゃんの手を引いて車が過ぎていくのを待った
とにかく、
今出来る事はこれくらい
ふと見ると、おばあちゃんの手は血だらけで
「さっき転んだけど、私つよいから大丈夫よ」と言った
とりあえずお家はご近所みたいだから、休み休みお話ししながらゆっくり歩いた
おばあちゃんは、一人暮らしで
お盆にも家族には逢えなかった事や
毎日新聞を見たり、ニュースを見たり
今は小泉さんがどうなるか、が一番気になること
でも本当は家族と暮らしたいこと
でも住み慣れた家を出ることは
やっぱり寂しいこと
をつらつらと話してくれた
やっとお家に着いて、荷物も全部玄関先に運んで
牛乳は傷みやすいから先に冷蔵庫に入れてください
とか念をおして
じゃあ、帰ります。と挨拶した
あの、いつも向かう為には通らない
帰る為にしか通らない
あの道のすぐ横に住んでいたおばあちゃん
手にあんなにすごい怪我をしても
にこにこ笑顔で
どうもありがとう、と言って
また、近くを通ったら寄って頂戴ね
と、おみやげまで持たせてくれた
人って強いし、残酷であったりもするけど
さっき逢ったばかりの私にさえも
やさしい言葉をかけてくれたり
長く長く生きている人は
ほんとうに、強い
K
（↓8/7 KANKAWAさんのJAZZオルガンを聴いた日）
