初恋の方からの手紙

ポール、ひさしぶり。
もう旅先で模造刀を買うクセは治りましたか？修学旅行の貴重なおみやげ代を模造刀に注ぎ込んだポールを思い出すと笑ってしまいます。

ポールに私が「何かドキドキしないのよね。最初からだけど」と冷たく言ってお別れすることになったあの日から、もう9年が経ったのですね。月日が流れるのは早いものです。

お手紙を書いたのは、とくに用事があるわけではないんです。ただふと思い出して懐かしかったので、思いつくままに手紙に書こうと思いました。ふふ。驚いたかな？

思い返してみると、あのころはポールはとても優しくて、大人びていたなぁと思います。私は素直になれなかったから、平気で「ポールはどうせ胸さえ大きければいいんだよね！」なんて責めるようなことを言ったけど、ポールは「そんなことはないよ。カラダ全体が大事だよ」って優しく諭してくれたのを覚えています。少しヒドイと思ったけれど今でも心に響いています。

あのときポールにとって初恋の相手が私かな？私にとっては8人目の彼氏だったかと思います。あ、そうそう、ポールは最初からキスが濃厚で少し気持ち悪かったなぁ（苦笑）。でも何かの雑誌で読んでキスの練習してきたって言うから、黙っているしかなかったんですけどね、私。

まだ付き合い始めたころ、ポールは気分が盛り上がって「いつか必ず結婚しような」って言っていましたよね。私は適当にごまかしましたが、嬉しそうなポールの顔を忘れません。今思えば完全に詐欺ですけど、今でもみんなにそう言っていますか？

恋愛を総合的に考えれば、私はポールと付き合えてよかったなぁと思います。当時は少し恥ずかしかったし疲れたけれど、私が男性のように強くなれたのも、ポールがどこか頼りなかったおかげだと思っています。

いろいろ書きましたが、私はポールが大好きでした。これからもポールらしさを大切に、夢のドS女性を探しながら（笑）、いつか幸せになってください。

またいつか会いましょう。では。

P.S. ポールが誕生日にくれたキャッチャーミット、使い道がないので捨てていいですか？




切なくて甘酸っぱい、けれど懐かしい気持ちになりました。