題なし。。。９

　『susumu～いるの～！？いないの～！？』
　「う～ん。誰だ？誰か叫んでるみたいだ」
　うん？今度は携帯がなってる。
　携帯？携帯は？と・・・
　あージャケットのポケットに入れたままだ。
　なんだ、お袋か？
　ん？着信18件？
　「もしもし・・・」
　『生きてたの？何度も携帯や電話にかけたのに、でないし・・・』
　「何？何か用か？」
　『ちょっと待ってて。すぐにかけなおすから』
　それだけ言って、切ってしまった。
　やっぱ叫んでたのは、夢じゃなくて、留守電に叫んでたお袋か・・・

　『何度電話しても出ないから、死んでるのかと思って、妹に様子を見に行くように頼んだのよ。丁度出るところだったって。間に合って良かったわ』
　「この頃忙しくて、疲れが溜まってたのか、晩飯を食って、ちょっと横になったら寝ちゃったんだよ。心配かけて悪かったな」
『それならいいけど・・・別に用はないんだけど、何度かけても出ないから、てっきり死んでるのかと思って大騒ぎしてたのよ。元気ならいいわ。身体に気をつけてね。じゃぁ』
　死んだって！！？
　そりゃないだろ？
　でも、家族っていいもんだな・・・心配してくれて、ありがとう・・・

　だが後日、詳しく話を聞くと、妹のヤツ・・・
　『もし死んでたらどうしよう？変死扱いになるんでしょ！私が第一発見者になるんでしょ！怖いなぁ・・・でも昼間何気なく兄貴の所を通ったら、車が無かったから、死んでても丸１日は経ってないから・・・』
　なんて、話していたらしい。

　いい歳のいい男なんだから、合コンで楽しんでて聞こえないんだとか、デートを楽しんでて聞こえないんだとか思えないのか！？
　せめて、熱でも出して、薬を飲んで寝てるから聞こえないんだとか思えないのか！？
　いきなり、俺を殺すな！！！
　でも、心配してくれてありがとう！

　ところでキョト、いつも携帯がなったら教えてくれるお前が、教えなかったなんて不思議だな。
　はは～ん、さてはキョト、お前も爆睡してたな！
　今夜は綺麗な月が出てる。
　窓を開けると、冷たい風が吹き込んだ。
　「うっ、さぶ！」
　窓を閉め、ベッドにもぐり込んだ。
　人恋しい季節になったな・・・