久しぶりの道尾さん。
やっと『透明カメレオン』読めました~。
特設サイト様から、あらすじを引用。
今夜も僕は、世界をつくる。少しの嘘と、願いを込めて。
ラジオパーソナリティの恭太郎は、素敵な声と冴えない容姿の持ち主。バー「if」に集まる仲間たちの話を面白おかしくつくり変え、リスナーに届けていた。大雨の夜、びしょ濡れの美女がバーに迷い込み、彼らは「ある殺害計画」を手伝わされることに。意図不明の指示に振り回され、一緒の時間を過ごすうち、恭太郎は彼女に心惹かれていく。「僕はこの人が大好きなのだ」。秘められた想いが胸を打つ、感涙必至のエンタメ小説。
わけのわからないうちに、謎の美女・恵ちゃんの指示で、
ある殺害計画を手伝わされる面々に、最初は笑いながら読み進めていて。
みんなでワーワー言いながら、なんだかんだ協力してあげる。
バレやしないかとハラハラしながら、
ドジ踏まないようにと願いながら。
でも、だんだんと、不思議に思えてくる。
恵ちゃんは、本当にある人物を殺したいのか?
ちょっとずつ恵ちゃんの嘘がバレてきて、
その時にはすでに恭太郎は彼女のことが好きになっている。
そしてバーに集まる皆も。
すっかり私も騙されて?
悪徳業者をみんなの力を合わせてやっつけて、
めでたし、めでたし~~~~~のお話だとばかり思っていたら…
最後の最後で明かされるのは、
明るくて、ちょっと世話焼きで、楽しい仲間たちの過去と思い。
恭太郎は彼らの世界をつくり、救い、そして救われていた。
深夜のラジオ、受験生時代にはお世話になったことも…
苦しいなぁと思う時に、ホッとする存在だったりして。
心当たりのある方には、ぜひ読んでみてほしい本。
作品の登場人物たちも、きっと少しずつ前を向いて歩けるのだと思う。
作品の登場人物たちも、きっと少しずつ前を向いて歩けるのだと思う。
恭太郎と恵ちゃんは最後に涙を流しているけれど、
それは悲しいからだけではないんじゃないかなー。
思いつめていたものや張り詰めていたものが溢れ出して来たり、
気付いたら周りの世界がやさしいものに思えてきたり。
彼らはきっと大丈夫、と思えるラストで良かった。
あとは、廃棄物の違法投棄をしている後藤たち、
アイツらはきっとこれからも懲りずに同じことを繰り返していくんだろうけど、
もう恭太郎たちとは交わることはないだろうと。
久々の道尾さん作品は、やっぱり良かった。