『ありがち日記』

古き良き芸術と歴史に触れる②

つづき。

国立劇場(今回は小劇場)へ足を踏み入れたのは初めて!
中には売店や、短い休憩時間に食事が取れるよう食堂もある。

この日の第二部演目は、
①「傾城反魂香」から土佐将監閑居の段
②「艶容女舞衣」から酒屋の段
③「壇浦兜軍記」から阿古屋琴責の段

具体的な内容はここでは書かないけれども、事前に本であらすじを押さえていたので、
大夫さんの義太夫節が少々わからずとも、内容は何となくわかる。
それに、電光掲示板で現代語訳が出てくるので、そちらを見ればわかるようになっている。
でも舞台に集中したいからそんなには見られない。

①は、吃音の又平を何とも面白おかしく大夫さんが表現していた。
吃音の発生が難しいと思うんだけど、すべてが絶妙。さすが竹本住大夫さん。
この方は、重要無形文化財を保持されている方で、声の深みが鳥肌もの渋いのよ~。

②は、少々切ない系。
お園のクドキ部分、後ろ振りがあまりに妖艶でうっとり。
人形でこんなことができるのか、逆に人形だからこそできる姿なのかと、感嘆しきり
やはりこれだけの役をやる主遣いさんは同じく重要無形文化財保持者の吉田蓑助さん。

③については、もう、これが観たかったから来たと言っても過言ではないのだ!
時代物で、実はそんなに物語の中心になる部分ではないようなのだけど、
阿古屋という遊君を、琴、三味線、胡弓を演奏させて尋問するというのが面白い
しかもその阿古屋は桐竹勘十郎さん!

登場シーンは本当にドキドキして、アイドルとかを待ちわびるファンの心境、まさしく。
重要な役だと時々、主遣いだけでなく、左遣いと足遣いも出遣い(顔を出している)になることがあるらしく、
この阿古屋もみんなお顔が出ている。
しかも勘十郎さんのお召し物がやたら他の人と違いすぎていた。豪華なの!
血液がものすごい勢いで体中を巡るので、頭がカーッとなってるのかぽわーんとなってるのか
よくわからない興奮状態の中、いよいよ琴責のシーン。

琴、三味線、胡弓を実際の三味線さんが演奏し、それに合わせて人形が動く。
実際にそれらの楽器を弾いているような動き。
それも普通なら適当に弾いている振りでもしていればいいのだろうけど、
そうではなくて、人間の三味線さんと手の動きも同じ息がぴったりなうえ、
主遣いさんと左遣いさんは、実際に弾けるくらいじゃないと、
あんなに正確に指の動きまで表現できないでしょう!神業だよー
観客のみなさんも同じように感動していて、「わー!」とかって言いながら大拍手。
腱鞘炎になりそうなくらい腕が動いているはずなのに、
勘十郎さんの表情はまったく動かない。あくまで主役は人形だから。

もう、すんごい素敵~~~~~

その無表情さにやられます。無表情に神業を披露されると、今で言うギャップにやられるという感じ。

今回、正直知らなかった方もいらっしゃって、
あとからパンフレットを見ながら復習して、こんなに素晴らしい方がやってたんだと気付いた次第。
かなりベテラン風な観客の方々は、ビッグそうな方が出ると大きな拍手で迎えるのだけど、
何も知らない私は「えっえっ、なんで!?」となっていたのでした。
なるほど、そういうわけだったか。
これからは、そういうところも事前に調べて行かなくちゃなー。ふむふむ。

若い人はやっぱり少ないんだけど、ちらほらと同年代と思しきお客さんもいた。
ほとんどは年配の、しかも上流階級的な雰囲気を漂わせている方々が多い。
着物の方もだいぶいたし。
いやー、これが敷居の高さを感じさせる一つの要因かー。
なんかもっと身近に観られるといいのに。歌舞伎のように全国で。
大阪や東京の劇場で観られる人が羨ましい。地方はそこが弱いのかもな。


終了したのは8時半頃。
休憩時間があっても30分くらいで、あとはずっと座りっぱなしだから、さすがに疲れた。
けど、それ以上に充実していた!書ききれないほどの収穫もあったし。



雨で道路状態は悪かったんだけど、ホテルの帰り道は本当に幸せな気分だった。
もしかしたら眠れないんじゃないかと思うくらい。いや、眠れたけど。


ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「文楽」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事