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井上 荒野(著)
もうすぐ死んでいく男の妻と愛人。
男が死んでいくまでの三人の心情が描かれる。
こうした「お招き文」を読むと、ぐぐっとそそられてしまいますね。
私もそうした一人であったことは否めません(笑)
まんまと引っ掛かりました。
男の名前は「歳さん」
これが、女心を掴むようないい男!
ふわふわしていて、だらしなく、どこか少年ぽく、
でも、しっかり大人のであって。
「女たらし」がぴったりで。
読みながら、この感覚、どこかで・・・
江國香織さんの作風を感じてしまいました。
江國さんほどぐたぐたでとりとめのない男女ではないのですが。
「もう切るわ」
「スイトルヨ」
どれも意味深ですよね。
そんな意味深な言葉が作中でさらりと使われている。
言葉選びの上手な作家さんです。
とてもお洒落な小説です。