こひつじ文庫さんのブログでとてもおもしろかった、と紹介されていたので
図書館に予約しておきました。
受け取って、驚いたのは、訳者が武富博子さんだったこと。
タイトルだけで予約していたので、作者や訳者のお名前まで見て
いなかったのです。
武富さんは、ことり文庫さんが梅ヶ丘にあった時、何度かお店で
お会いしたことがあって‥たしか歌に合わせて絵本交換したときに
(そういう楽しい会があったのです)
私が選んだ絵本が当たって、よろこんでくださった思い出あるのです。
読みだす前から、なんだなんだそうだったんだーとテンションあがりました。
(武富さん、私のこと覚えていてくれるかなー)
『沈黙の殺人者』は、2012年エドガー・アラン・ポー賞(YA小説部門)受賞の
作品で、題名からもミステリーの王道的な雰囲気がしますが、この美しい、
表紙のガラス瓶と題名は、どう絡んでくるのかなーと思いながらページを繰って
いきました。
主人公はホープ。兄に野球チームの監督殺害の容疑がかけられ、裁判で審議中。
弁護士も、母さえも、彼を無実だと陪審員にわからせるのは難しいと思う中、
妹のホープだけは、まさにホープ(希望)を捨てません。
なんとかして、兄の無実を証明するため、友だちの助けを借りながら奮闘していく
姿と、しだいに明かされていく「家庭の事情」や、兄ジェレミーが自ら話すことを
「やめてしまった」過去のあれこれが、胸に痛みを残します。
が、それと同時に、10代の友情や恋愛につきものの悩みや喜びが瑞々しく描かれた
青春小説としても楽しむことができました。
それにしても表紙の絵、高2の娘も思わず「きれいだねー」と、手にとって、
読んでみたいけど、時間がないと悔しそうに言ってました。
本って、装丁から、もう物語が始まっているのですね。
ホープと一緒に真犯人探しに夢中になっているうちに、私は、美しい表紙のこと
ほとんど忘れかけていて‥最後の最後になって、ああそういうことだったんだ、と
唸りました。
なんてことないどこにでもある、しんとしたガラス瓶。
その中と、その外。ドラマは両方にあったということです。