今日は、2ヶ月半ぶり、今年度に入ってはじめての「開き読み」の当番の日でした。
行ったのは5年生の、娘の居るクラス。しかも担任の先生は、この図書ボランティアを
立ち上げた方なので‥久しぶりに緊張しました。
娘は、自分のクラスに来るときは、自分の知らない本を読んでね、と言うので、本選びの
段階から練習まで、こそこそこそこそ。本もずっと事務所の机に隠しておきました。
(でも、結果的には、2冊とも娘の知っている本を読んでしまったのですが…)
迷った末、1冊目はこの絵本にしました。
『どんなかんじかなあ』
中山千夏 文 和田誠 絵
前に家では読んだことがあるので、娘は「なんだあ」と思ったかもしれないのですが、
それを承知の上で、この絵本は選びました。
何週か前に、5年生は「総合学習の時間」で、アイマスク体験というのをしていたからです。
目が不自由とはどういうことなのかをすこしでも知るために、二人ひとくみになって、
一人がアイマスクをして、もうひとりの声を頼りに、廊下を歩いたり、階段を下りたり…。
そのときの不安な気持ちやどきどきが残っているうちに、自分とは違う状況を想像してみること、
思いを巡らせてみることの大切さ、みたいなことを伝えられたらなあと、思いました。
この『どんなかんじかなあ』は、表紙に描かれているひろくんが、自分とはちがう状況にある
ともだちのことを、「それって、どんな感じがするのかなあ」とイメージし、そして
少し近づいてみるために、たとえば、目を閉じてみたりするのです。
ともだちの まりちゃんは めがみえない。
それで かんがえたんだ。
みえないって どんなかんじかなあって。
しばらく めを つぶっていたら わかるかもね。
うん、めを つぶっていてみよう。
しばらく目を閉じていたことで、ひろくんには新しい発見がありました。色々な音があふれかえって
いることに気がついたのです。だから、驚いて目を開けたひろくんは、まりちゃんにこう言います。
「みえないって すごいんだね。
あんなにたくさん きこえるんだものね。
みえるって そんだね。
ちょっとしか きこえてないんだものね」
… … … … …
基本的に私は、絵本は個人の楽しみのために存在すると思っているので、絵本を「利用」して
何かをわかりやすく伝えようとしたり、ある種の考え方を説こうとしていたりする、そういう
匂いがすこしでも感じられるものを、手にしてみることはあまりありません。
左側のはじが「道徳」という項目で、右側のはじが「アート」という項目なら、私の中の
「絵本ものさし」は真ん中より、だいぶ右に寄っているのです。
『どんなかんじかなあ』は、そんな私の「ものさし」では、ぐーんと右に寄っています。
中山千夏さんの口馴染みのよいテキストに、和田誠さんの絵が、とてもよく合っていて、
「どんな感じかなあ」の世界に自然に、無理なく入っていくことができるのです。
絵本を1冊読んだことで、賢くなったり、勉強になったりすることは、あまりないかなあと思うし、
そういうことに絵本を「使って」はもったいないし、絵本に対しても失礼かなあと感じています。
だから、うまく言えないけど、『どんなかんじかなあ』で、学習してもらう必要は全然なくって、
ただ、いろんなことを、自分の枠の範囲を越えて、想像していってもらいたいなあと…それだけを。
まず、思ってみること(想ってみること)が、すべてのはじまりだと思うから。
※2冊目の本の話は次の巻にします。
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rucaさんの考え方に思わず うんうんと頷いてしまいました(*^_^*)
この本、お話会で読んでいただいて、とても良かったです。
聞きながら「どんなかんじかなぁ?」っていう想いが自然にひろがっていって、心の中に何かしらポトンと残していってくれる、そんな感じがしました。
文も絵もほんとうに心地よくて。
そうそう、川端さんとrucaさんの「開き読み」に刺激を受けて、私も「読み語り」という言葉を使っています"^_^"
遊びに来てくれて、コメントまで残してくれて
どうもありがとうございます。嬉しいです。
『どんなかんじかなあ』は、ひとりで心の中で
読むよりも、声に出して、誰かに読んでもらったり
読んであげたりするほうが、ずっとずっと
心に深く入り込んでくるように思います。
なんか「啓蒙」されちゃうのはいやだなあと
最初はなんとなく敬遠していた本だったのですが、
開き読みの勉強会で、メンバーのひとりが読んで
くれたのを聴いていて、自分の考えが「浅かった」
ことに気付いたのでした。
ひろくんの素直な感じを、ほんとに和田誠さんは
よく表していますよね。
今は、とても共感できます。
私はたぶん、自分で始める前は、
要するに8月には戦争の本を読みたくなる人だったと思うのです。
でも、いくつかの講習を受けたり
自分でも様々な資料を目にするようになると
「目から鱗」の状態でした。
これからも自由に想ったり感じたりしてもらえるように
心がけていきたいと思っています。
この本、私は最後に“ドキーッン”としちゃいました。
読んでもらいながら、目を閉じたりして
どんな感じかなぁって、一緒に感じたくなります。
私も絵本を何か教えるために「利用」されるのはイヤです。
絵本は絵本として純粋に楽しみたい。
作り手の想いを素直に受け止めたい。
もともと教育的な絵本といのが嫌いで避けて通っていたから、たまに子どもがそういうの気に入っても心のどこかで「いやだなぁ」なんて思っていました。
でも、こういう絵本もあるんですね。
それは作り手の意識にもよるのかな。
今まで食わず嫌いなところがあったけど、まずは素直な気持ちで読んでみないとわからないってことですね~。
本選び。特に学校の時間内に教室で読む絵本選びは
難しいですよね。時間も15分と決められているし、
できれば、季節感のあるものを、とか思ってしまうし。
メンバーの中には、やはり夏には戦争の話や憲法に
関することを、と思ったり、あるいは「いじめ」に
関する本はどうかと提案する方もいますが、そういう
類は、全部授業に任せていいんじゃないか、と私は
お気楽に考えています。
この『どんなかんじかな』は、ラスト2ページで胸が
きゅーんとなりますよね。そのきゅーんの瞬間を
5年生と一緒に味わいたかったのですが、みんなは
どう思っていたでしょうね‥
くっちゃ寝さんから、はっきりと
絵本を何か教えるために「利用」されるのはイヤです。
と、言ってもらうと、安心するし、気持ちがすっきり
しました。ありがとうございます。
この本、もし、まだ読んだことがなければ、本屋さんの
立ち読みでもいいから、ぜひ手にとってみてください。
最後の最後で、どっきーん、そうだったのか!!と
なりますよ。そして、作者あとがきで、中山千夏さんの
書かれた言葉をよむと、胸のつかえがすとんとおります。