Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

ディック・フランシス逝く

2010-02-15 16:47:49 | 雑談
今朝のニュースを見ていたら
「イギリスのミステリー作家、ディック・フランシス氏 死去」とあった。
89歳の大往生。

フランシスの競馬ミステリーは愛読書で、すでに文庫になった42冊はすべて読んだ。

競馬にまったく興味がなくても、彼の描く競馬場、厩舎、馬たちの魅力的なこと。冷たい風、馬の匂いまでしてきそうなその描写が好きだ。

主人公は4度も登場したシド・ハレーを除いては毎回ちがう設定。でも実は1人の男しか描いていないんじゃないか、というほど似たような性格。正義感に満ち、我慢強く、よけいなことは言わない男。古いイギリス人の好きな Stiff Upper Lip ってやつ。

この主人公が人に頼まれたり、友人を助けるために事件の調査を始めて、終わり近くでは必ず痛い目にあう。これが文字通り痛い目で、骨を折ったり、皮膚が裂けたり、体中があざだらけになったり。このあたりは元競馬騎手の実体験に基づいているのでものすごくリアル。フランシスって実はマゾだったんじゃないかと思うほど、毎回こういうシーンが出てきて、しかも主人公はこれに耐えるのだ。

ヒーローに対するヒロインが、必ずしも若い美女じゃないところもいい。顔に傷のある女性だったり、オールドミスにもやさしいのは、実は小説を本当に書いていたのはフランシスの奥さんだったのではないかと言われる、そのせいだろうか。

偉大なるマンネリ。
それが息子との共著、あと3冊しか読めないとは、悲しい。


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