今回は「胸骨圧迫(心臓マッサージ)」です。
呼吸が停まっているような人を発見し、即座に119番に連絡することができたとしても、救急隊がかけつけるまでには時間がかかります。それまでの間、その場に居合わせた人(市民救助者)が心肺蘇生を試みることができるかどうかが、救命率を大きく変えることになるのだそうです。
その中心となるのが、胸骨圧迫(心臓マッサージ)なのだそうです。カエサルなりに、そのポイントをまとめてみます。
倒れている人を仰向けにさせ、その胸の真ん中を押します。
写真の訓練用人形は胸をはだけていますが、服は着せたままでよいそうです。
「胸が約5cm沈むように圧迫する」のだそうです。
自分で自分の胸を押してみればわかりますが、ちょっとやそっとの力で胸は沈みません。膝立ちで、倒れている人の胸の上に両手を重ね、体重をかけるような形で押し込むことになります。かなりの力が必要です。講習のときは、「とにかく強く押せ」と教わりました。
その一方、「6cmを超えないようにする」のだそうです。もちろん、沈んだ深さを測ることなどできないし、測ることができたとしても、シロートが「5cm以上6cm未満」という微妙な押し方をできるはずがありません。胸骨圧迫を行うことによって、倒れている人を怪我させてしまうという可能性もあります。
しかし、放っておけば救命率はグングンと下がっていきます。やってみるしかないということです。そういう覚悟をしておく必要があるのだと思っています。
胸骨圧迫は、押しっぱなしではありません。胸を押し、胸が沈んだら、胸が元に戻るのを待ちます。それを何度も繰り返します。
そのペースは、1分間に100~120回なんだそうです。かなりのハイペースです。講習では、『リパブリック賛歌』のテンポで押すとよいと教わりました。オ・タマ・ジャク・シは・カエ・ルの・子・・・です。なんかふざけているような気もしますが、実際に歌いながら時間を計ってみたら、ちょうどそれくらいのペースになりました。
ちなみに、「オタマジャクシはカエルの子・・・やがて手が出る足が出る」を歌いきると、32回圧迫することになります。胸骨圧迫30回・人工呼吸2回の組み合わせが基本ということなのですが、「足が出」のところでやめるとちょうど30回ということになります。
胸骨圧迫は、救急隊に処置を引き継ぐまで続けねばなりません。途中で人工呼吸をする場合でも、10秒以上の間を空けてはいけないそうです。AEDを使うときは、パッドを貼っている間も胸骨圧迫を続けるのだそうです。
当然、疲れます。1人だけで続けるのは無理があるので、協力者が必要です。周囲の人に声をかけ、手伝ってもらわねばなりません。人の命を助けるためとは言え、見知らぬ人たちに声をかけるというのは勇気が要ります。そういう覚悟をしておく必要があるということになります。
周囲の人に協力を求めるにしても、胸骨圧迫のことなどまったく知らないという人にいきなり胸骨圧迫をお願いするわけにはいきません。ネットに出ていた話だと、胸骨圧迫の回数を数えてもらうというのがありました。そのことをきっかけとして、胸骨圧迫もお願いすることも可能になるとのことです。なるほどと思いました。
街中で倒れている人がいることに気がつく→近寄って声をかけてみるが反応がない→呼吸もしていないようだ・・・となったとき、119番に連絡するということだけでもたいへんだと思います。誤報で、いろんな人に迷惑をかけてしまうという可能性があるからです。できることならば、見て見ぬ振りをして通り過ぎたいです。
119番をすることができたとしても、その後で、胸部圧迫を始めるのには相当の勇気が必要です。見ず知らずの方の胸を押すことになるわけですし、そのことによって相手に怪我をさせてしまうという可能性さえあります。キレイゴトだけでできるようなことではありません。
7年前に講習を受けたとき、自分にこういうことができるだろうか?と考えました。そのときも、今も、できるという自信などありません。でも、こうしたことを考えておくことによって、「覚悟」「心構え」がちょっとだけできてくるんじゃないかと思っています。
今回は「胸部圧迫」のみとし、次回の記事では「人工呼吸」について考えてみようと思っています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます