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ものすごい揺れ。カエサルは職場の廊下を歩いているところで、何かにつかまらないと立っていられないほどなのだけど、つかまろうとするものが全部ゆれているわけでどうしようもありません。揺れが大きいだけじゃなく、長かったですから、立っていられたのが不思議なくらいですね。
そんな中、カエサルが何を考えていたかというと、まず、カメラ。カメラを取ってきて、写真を撮らなくちゃとばかり考えていました。揺れがおさまり、部屋に戻り、最初に撮ったのがこの写真です。
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もちろん、ひどいことになっています。でも、写真として、「ひどい状況」というのを撮ることができるかどうかと言うと、難しいですね。
このとき、カエサルが考えていたのはそんなことです。すでに屋外退去の指示が出ていて、同僚から促されて、外に出ました。
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このとき、カエサルは、出したらしまわなくちゃいけないよなぁ・・・などと思っていました。この日、飲み会が予定されていたので、この時点でも、行くつもりだったんですよ。一段落したら、そういうのに行くことができるだろうと思っていました。
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そうした中、ご近所の方も一人二人となく集まり始めました。
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発電機があり、投光器があるとは言え、「電気のない夜」というのは、カエサル自身、数えるほどの経験しかありません。食料の蓄えや夜具の備えもあるとは言え、心の準備まではありませんからね。本当に一晩をすごすことができるのかという不安はありました。
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ラジオでのニュースは小耳にはさんでいました。直接聞いたときもあったし、人づてに聞いたりもしました。津波が来て、大きな被害が出ているということは知っていました。でも、「200人の遺体が確認されました」「○○地区は全壊です」などと言われても、理解できないでいたのです。
テレビでのニュース画像を見て、悪い冗談だと思いました。正直な感想です。こんなときにそんな画像を流すなよ、と思いました。本気にしてしまいそうでした。
不謹慎な冗談を口にしようとして、その寸前で、ここに残っている子どもたちの半分くらいは、こうした地区に住んでいるんだということを思い出しました。
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食事の準備です。
とにかく、この夜をすごさねばなりません。
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絶え間なく訪問者があるというわけではありません。車の中で待機しているわけなのだけど、その間、カーラジオから流れてくるニュースで原発事故のことを知りました。
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後になって考えてみると、津波被災地や原発被災地のことを考えてみると、本当に「何事もなかった」と言っていいと思います。
この後、カエサルは帰宅します。生活環境としてはこのまま職場にいた方がいいわけですけど、ひょっとしたら家が崩壊しているかもしれなかったわけで、そういうことを考えながら職場にいるよりは、実際に帰ってみたほうがいいと思ったわけです。
電気も水道もなく、懐中電灯さえなかったんですけど、でも、自宅に帰れば周囲の人に気兼ねしなくてもいいという思いはありました。怖くなったら怖いと言えばいいし、怒りたくなったら怒ればいいし、泣きたくなったら泣くこともできます。
ある意味、正解だったと思います。泣いたり、喚いたりしたわけじゃないですけど、少なくとも、酒を飲むことはできました。真っ暗な家の中で、ライターの火を頼りに、酒とコップを確保しました。奇跡的に、ポータブルラジオも発見しました。
絶え間ない余震の中、明日からどうなるんだろうなどということも考えましたけど、少しだけですね。ラジオの声に励まされながら、いつのまにか眠りに落ちました。
>悪い冗談だと
いったい何が起きたのだろう。
全壊ってどういうこと?
地震があって津波が来て、数時間の出来事。
忘れてはいけないですよね。
記事にしていただいて、知ることができて良かったです。
本当にありがとうございます。
ニュースを聞いても理解できない、そういうことが起こったんですよね。
匿名でやっているブログなものですから、「職場」とか「子どもたち」の写真とかは控えめにしたかったんですけどね。こうした写真を抜きにしてしまうと、カエサルの3.11ではなくなってしまうので、忸怩たる思いを抱えながら掲載することにしました。
喜んでいただけて、嬉しいです。