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カエサルは、津波や原発事故などの被害にあったわけではなく、避難所や仮設住宅などでの生活を強いられたわけでもありません。それでも当時の生活はたいへんだったんですけど、そうした日々を忘れつつあるということに気づいたのです。こうしたことは、何度でも振り返っておく必要があると思いました。
今回は、2011年3月19日です。震災9日目ということになります。
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この4日前、3月15日から電気が来ていました。夜でも明るくすることができるし、暖房を使えるようになったし、カセットコンロを使わずにお湯が沸かせるようになったし、インターネットも使えるようになりました。それまでの4日間と比べれば、夢のような生活が始まっていました。
心配だったのは、まず、食料です。
インスタントラーメンが30袋くらいあります。この時点で、こんなに食料をもっていたのはカエサルくらいかもしれません。毎日3袋ずつ食べても10日間はもつ、2袋ずつなら15日間もつと思っていました。
餓死することはないだろうと思っていました。
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開店10分前くらいに着いたのだけど、行列などはありませんでした。開店時間になると、従業員の方が出入口のところに立って、先頭の3人くらいを中に入れ、その後は、1人が出てくると1人を入れるというしくみでした。
それほど待つこともなく店内に入ることができましたが、商品棚はほとんどからっぽです。カップラーメンなどはありましたが、1人2個までといったような制限がありました。
タバコを買うことはできました。いつもの銘柄ではないのですが、1カートン買うことができました。そういう買い方ができたのはこのときが最後だったと思います。その後は、まったく売ってないか、売っていても1人2箱までといったような制限がつくことになりました。
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コンビニから西に1kmほどのところにガソリンスタンドがあるのだけど、コンビニの東側から延々と自動車が並んでいます。これが、ほとんど動きません。この渋滞がどこから始まっていたのかはわかりませんが、少なくとも2km、場合によっては5kmくらい続いていたんだと思います。
こういう光景が、仙台のあらゆるところで見られました。ここは片側2車線なのでまだよいのですが、片側1車線のところでは反対側車線で交互通行するようなことになります。交通整理をする人がいるわけではなく、はっきり言って、めちゃくちゃです。カエサルは、この渋滞に加わる気にはなれませんでした。
カエサルの車には、それなりにガソリンが入っていました。この前日までは車で通勤していたし、営業している店などを探して近所を車で走り回ったこともあります。そうしたことを続けていれば、ガソリンはなくなってしまいます。残っているガソリンは緊急のためにとっておくことにし、車には乗らないことにしました。
職場へは、徒歩で通勤しようと思いました。片道5kmくらいで、坂もあるので楽な道のりではないんですけど、1時間くらいで着けるだろうと思っていました。
自転車があればよかったのだけど、ありません。買うこともできません。お金があっても買えないというのは、不思議な感じがしました。困ったと言うよりも、不思議な感じがしていました。
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それまで、水は職場からもらってきていました。職場では水が出たのですが、それを運ぶためには車が必要です。でも、ここならば、徒歩で給水しにくることができます。ありがたいことだと思いました。
カエサルんちで水道が出たのは3月28日、震災18日目です。その間、洗濯は一度もしませんでした。
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写真は、そうやって発見した菓子パンです。これ、消費期限が2010年12月31日なんですね。消費期限を3ヶ月以上も過ぎているわけで、さすがのカエサルも躊躇しました。結局は食べなかったんですけど、とっておきました。毎日毎日腹を空かせていたし、いつ頃になったらまともに買物ができるようになるかがわからなかったわけで、とてもじゃないけど、捨てることなんてできませんでした。
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