音楽の喜び フルートとともに

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記憶への挑戦

2008-09-26 01:01:10 | Weblog

モーツァルトは一度聞いた曲をすぐ再現できたといいます。
ほとんどの民族楽器は長く、楽譜がなく、聴き取りで伝承されていました。
友達になった、横琴を弾く中国の女の子は、一回聴いたら覚えてしまうので、はじめから、ちゃんと演奏したものをきかないと、変なニュアンスまでおぼえてしまう。と言っていました。
私の母のお琴の師匠は盲目ですが、やはり、記憶の中だけで素晴らしい演奏をしておられます。
人間国宝の菊原先生は彼女だけが口伝で伝承している数え歌に対して国宝があたえられたそうです。

レッスンを受けても記憶力が良ければ、後戻りが少ないだろうと思います。

どうしたらより早く鮮明に覚えられるのか?

記憶力の弱い私は、そればかり考えていました。
一つわかったのは、先生の言葉を翻訳したり、まとめて要約したり、検討していいとこどりしようとしている間は、そちらに意識が行って覚える効率が落ちる。ということです。

昔はどんな技術も弟子入りして、師匠と生活をともにして、覚えましたが、それは、体で覚えると言うことの他に、先生の目を通して見る。先生が何を見、何を聞き、何を考え、何を思って、そのようにしたかを、生活をともにすることによって、理解しようとすると言うことではないかと思います。
言葉や、文字や楽譜で伝えられることは情報の一部でしかありません。その時の先生の体、息遣い、香り、いろんなことを、写真のように、CDのように丸写しする。「学ぶ」は「真似ぶ」と言われたそうです。

帰って検討したり練習したりする前に、その場で覚える。できるだけ、早く復元する。検討したり、解釈したりすると別のものになってしまいます。

その瞬間に目を覚まして、瞬間に生きているか?

検討するのは再現できた後で、構わないんです。それでも、私の場合は次のレッスンまで一週間あれば、最後の2日位しか足せません。5日間は再現できるか。もう一度再現できるか?自分のものになったか?で終わってしまいます。
私は効率が悪いかもしれません。そして、これだけやっても、レッスンに行ったらやっぱり戻っています。
でも、何割かは残って、積み重なっていきます。
記憶は血となり肉となり、骨となって、初めて自由に扱えるようになります。特殊な才能を持たない私のやり方です。