ローマ・マエストラーレ通りのジオラマ、建物の残りをご紹介します。
こちらはファーラーのキットで「管理棟」といった名称のようです。重厚な感じが役所の建物として使えそう、ということで政府機関、行政機関ということにしました。こちらは比較的組み立てが楽でした。屋根も一体成型ですので変な隙間も出ませんでした。白い部分は例によってグランプリホワイトに、レンガの部分はファレホの茶色系の色をいくつか用意し、混色しながらちまちまと塗っていくことで違いを出したかったのですが、あまれ目立たなかったです。屋根は他の古い建物同様、GMカラー17オレンジAを吹きました。旗竿はキットにはなく、1mmプラ棒を切り出し、ネットから落としたイタリア国旗とEUは旗をラベルシールに印刷しました。イタリアでは政府機関の建物ですと片側にイタリア国旗、片側にEUの旗を掲げていることが多く、重武装した憲兵(カラビニエリ)が警護しているのをよく見かけます。自治体では市の紋章などを掲げていることもあるようです。
正面には「SPQR」(ローマ市民及び元老院諸君)というローマ市の枕詞みたいなフレーズが掲げられています。古代の碑文にはじまり、現代の市民向けのお知らせまでいろいろなところに使われます。
キットではドイツ語で他のフレーズがモールドされていたのですが、イタリアと言うことで一目でそれと分かるようなものを、と思いました。プラ材を切り出し、グリーンスタッフワールドの古代ローマを題材にしたデカールから選んだものを貼りました。
この建物、今後地面編を書く時にも触れますが、建物の一部がガードの方にかかっていて、下を走る線路の真上に当たります。このサイズ建物がガードの上に建つというのは強度上ありえないのですが、トンネルの上の教会といい、どうしても手前側に建物を置くための苦肉の策でした。
ジオラマで一番小さな「建物」はこちら。新聞スタンドです。
映画館やバールの向かいにあります。このスペースもいろいろ考えましたが、これに落ち着いています。カトーのジオタウンシリーズの「タウンアクセサリーセット」から宝くじ売り場というのがあり、それを改造しています。透明パーツを外し、両側にプラ材で扉兼新聞を挿すスペースをつけました。上にエアコンの室外機があるのは宝くじ売り場のままでご愛敬ですが、このサイズの新聞スタンドでは実際には小さな扇風機が回っていたりする程度です。新聞スタンドとしてはこちらはかなり小さな部類で、ちょっとした本屋さんレベルのものもあったり、絵葉書とか玩具が一緒に売られていることもあります。人形に比べますと新聞の方がサイズが大きいですね(汗)。元となった「タウンアクセサリーセット」ですが、ホビーセンターカトーでアウトレット品として売られているものでしたので、安く入手できたのはラッキーでした。
建物以外のモニュメントについてもご紹介します。
古代の円柱です。当初は古代ローマの小さな遺跡を作ろう、などと意気込んでおりましたがスペースがなく、それでも古代っぽいものが欲しいよなあ、ということで、ローマ時代の円柱が残っている、ということにしました。そうは言ってもどうやって作るか迷いました。以前もご紹介したドイツの玩具「プレイモービル」にローマの皇帝というフィギュアのセットがあり、そこにもちょうどいい大きさの円柱があったのですが、それを使わず、自作となりました。スチレンの丸棒にプラ材を貼り付け、台座もスチレンボードから切り出しました。本当は柱の様式は違うでしょうし、上下の台座に文様などが入ると思いますが、そこまでは作りこみできませんでした。ファレホのアイボリーを塗って大理石らしさを出しました。すくなくとも千歳飴ではないことは確かです。
円柱の上には人物の銅像があります。こちらはストレレッツというメーカーの「ローマ元老院2」というキットです。1/72スケールの軟質プラでできています。戦争や歴史上の事件を描いた人形と言うのは1/72で昔からいろいろなメーカーから発売されています。ミニチュアを使ったゲームの駒としても使われたりしています。
キットの中身はこんな感じです。
さまざまなポーズのトーガ姿の元老院議員たちが入っています。2があるから1もあるわけですが、1の方はカエサル暗殺のシーンのようです。2はアントニウスあたりが馬を牽いて反乱者を討伐するため議場を後にする場面かなにかでしょうか。
この中から銅像になりそうなものを選び、プライマーを塗った後にファレホのライトグレー系の色で塗り、さらに緑青色で上塗りしました。本来ですとローマ皇帝の銅像というのは軍人姿のものが多く(大概が遠征などを記念して作ったものなので)、トーガ姿は珍しいのですが、おそらく武より文に長けた皇帝だったのでしょう。
この円柱、後ろから見るとこんな感じです。この円柱については、どうやって作ったのですか?と聞かれることが多かったのですが、銅像を除けば本当に身近な材料を使い、安上がりです。
そしてもう一つ。ブロンズの騎馬像です。
こちらはイタレリ1/72のローマ時代の騎兵セットで、やはり軟質プラの製品です。イタリアでは古くからエッシーというメーカーからこういった歴史もののフィギュアがよく出ていました。同社がなくなった後も歴史のひとこまを切り取った製品が出ております。箱の裏を見ましたら2001年とクレジットがありますので、買ったのもその頃かもしれません。細かな塗装もできないくせに買ってしまったのは事実です。はい。ちなみに紀元前1-2世紀の騎兵ということなので共和制から帝政に移る時代のものですね。
こちらも同じようにプライマーを塗った後でファレホのブロンズグリーンを塗りました。兵士も馬もメリハリの効いたモールドで格好いいです。足元には盾を一つおいています。台座はスチレンボードを切り出し、ファレホのアイボリーで塗りました。
ここまで建物編をお送りしました。ちょっと他の記事を挟んだのち、地面編をご紹介します。