prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「九十歳。何がめでたい」

2024年07月02日 | 映画
初めの方で草笛光子が読む新聞の人生相談で相談するがイメージショットでひょっこり相談者の木村多江が実際に居間に現れるかなり凝った演出すると思っていると、そういうさりげない技巧が後までつながって展開していくのが「そしてバトンはつながれた」などの前田哲らしい。だいぶ前に脚本で組んだ「食鬼」でもそういう技巧派ぶりを見せていた。

唐沢寿明の髪型が思い切り変な以外は自然。
佐藤愛子が著書の書名から装丁までまんま再現しているのはちょっと驚いた。

場内は当然ながら年配者ばかり、かなりいい着物を着ているのが作中の草笛光子=佐藤愛子同様。

佐藤愛子の家の中は裕福で気ままな暮らしをうかがわせる調度で統一され、愛子の娘の結婚相手の男の姿はない、どうやら唐沢寿明のように「一度嫌いになった男とまたよりを戻すとこなどあるわけない」らしい。
女三界に家なしではなく、男三界に家なしである。それは家を放っておいたむくいだと笑いにくるみながら描く。






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